図解
※記事などの内容は2018年7月31日掲載時のものです
日銀が物価上昇率2%を達成するため実施している金融政策のうち、長期金利の誘導目標の運用柔軟化を決めた。低金利による銀行経営の悪化といった「副作用」に配慮するためだ。どんなものなのか探った。
-そもそも長期金利とは。
金利は大きく分けて返済までの期間が1年以下の短期と1年超の長期に分かれる。長期金利は10年物国債の利回りが指標となる。
-金融政策とどう関係しているのか。
一般的な金融政策は短期金利を操作するが、日銀は大規模緩和策の一環として2016年9月に長期金利を「0%程度」に誘導する目標を導入した。日銀が債券市場で国債買い入れを増やすと金利が下がり(国債価格は上昇)、減らすと上がる。購入額を調節することで金利を誘導する。
-効果は。
お金の量を増やす量的緩和などと一体で運用された結果、住宅ローン金利が下がったりして景気に良い効果をもたらした。だが肝心の物価の上昇は鈍く、日銀が目指す2%に届いていない。
-副作用もあると聞いたが。
異例の政策を長く続けた結果、銀行の貸出金利が下がって収益力が低下し、特に地方銀行などの地域金融機関から経営が苦しいと訴える声が強まった。また、金利があまり動かなくなり、国債を活発に取引する市場参加者が減ってしまうといった副作用も生じている。
-日銀はどうするのか。
目標そのものは0%程度を維持しつつ、一定の上下変動を認めることにした。これまで0.1%を超えるような金利水準では、日銀が特定の利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を行い、金利を押さえ込んでいた。この水準が0.2%程度に切り上がる。
-上昇を容認すると何が起こるのか。
国債の取引が活発化したり、銀行収益への悪影響が緩和されたりすることへの期待がある。一方で、金融政策の変更と誤解されれば円高や株安が進みかねないという不安もある。このため、フォワードガイダンスという金融政策の指針を導入して、将来も緩和が続くというメッセージを打ち出して誤解を打ち消そうとしている。
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