図解
※記事などの内容は2018年9月15日掲載時のものです
今月下旬に発足する新官民ファンド「産業革新投資機構」(JIC)の投資ルール案が15日、明らかになった。人工知能(AI)をはじめとする先端技術の創出支援を目標に掲げ、海外の政府系ファンドを含む国内外の投資資金を活用するのが特徴。政府関係者によると、将来的に投資余力は前身組織の2倍以上の4兆~5兆円に拡大する可能性がある。
JICは直接投資に加え、経済産業相が認可した傘下ファンド経由で投資に乗り出す。AIやロボットなど先端分野で「新規事業の創造」を支援するほか、地方大学の研究成果をビジネスにつなげる「地方に眠る将来性ある技術の活用」を狙う。さらに「ユニコーン」と呼ばれる企業価値10億ドル(約1100億円)以上の未上場ベンチャー企業の創出を目標に掲げた。
出資先企業に経営改善を迫ることで「国際競争力(強化)につながる大胆な事業再編」も目指す。一方、「市場から退出すべき者の救済を目的とする資金供給は行わない」と記し、公的な資金を使った経営破綻企業の救済に慎重な姿勢を示した。
従来の大型官民ファンドと異なり、国内外の官民資金の活用を重視。投資ルール案は、認可ファンド経由の投資について「可能な限り機構以外の出資などによる資金供給を確保する」と明記。政府は年金基金や保険会社、シンガポールや中東諸国の政府系ファンドから資金を呼び込み、投資余力を拡大したい考えだ。
政府は今月下旬に現在の「産業革新機構」(INCJ、資本金約3000億円、政府保証枠1兆8000億円)をJICに改組した後、1600億円の増資を行う。
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