図解
※記事などの内容は2018年5月25日掲載時のものです
政府は、海中の微生物によって分解される新たなプラスチック素材の普及に向け、官民連携による新素材の規格統一に乗り出す方針だ。日本が議長国を務める6月下旬の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、海洋プラスチックごみ対策が主要テーマの一つになる見通し。政府は新素材への転換などをうたった「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を同月上旬にも策定し、官民連携による規格統一を提唱する。
自然で分解されないプラスチックごみのうち、世界で年間約800万トン(推計)が海洋に流出。海洋汚染は温暖化に続く新たな地球規模の環境問題となっている。漂着ごみは漁具のほか、家庭から排出されるプラスチック容器なども含まれており、政府は日本独自のプランをG20サミットで示し、各国に議論を呼び掛ける方針だ。
経済産業省がまとめた工程表によると、今夏までに産業技術総合研究所や業界団体、メーカーが連携組織を立ち上げる。その上で、新素材が溶け出す海水の水質や温度、期間などを測定・評価する手法を検討。2020年代初めに国際標準化機構(ISO)に提案し、規格統一を目指す。規格ができれば、製品の安全性を保証し、信頼性も高まるため、普及の後押しにつながる。
現在、新素材は国内2社が開発し、レジ袋やストローなどを商品化しているが、製造コストは既存プラスチックの数倍となっている。そこで、25年大阪・関西万博までには、低コストで製造できる技術を開発。洗剤用ボトルや食品トレーなどに用途も拡大し、需要を取り込む狙いだ。
さらに、既存プラスチックとの違いを識別するマークを新たにつくり、新素材を使った容器などが家庭から排出された場合の分別回収・処理システムも検討する。
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