図解
※記事などの内容は2019年1月24日掲載時のものです
環境省は24日、絶滅の恐れがある野生生物をまとめたレッドリストの改訂版を発表し、「野生絶滅」に指定していた国の特別天然記念物トキのランクを「絶滅危惧IA類」に見直した。中国から提供を受けた鳥の繁殖が成功し、野生下での個体数が増加しているためで、1998年に指定されて以来21年ぶりに絶滅危険性が1段階低いランクに改善した。
トキは明治時代からの乱獲により個体数が激減。81年には野生の5羽が全て捕獲され、2003年に野生最後の日本生まれ「キン」が死んだことにより、純日本産の血筋は途絶えた。このため同省は、野生復帰を目指して中国から贈呈されたトキの繁殖と放鳥の事業を進めていた。
トキの野生下での個体数は年々増加。新潟県佐渡市で08年に放鳥を開始した時点では10羽だったが、19年1月21日現在で野生のトキは353羽まで増加した。
野生下で繁殖が可能と認められた成鳥は14年に初めて確認された。その後18年まで5年間継続して観察されている上、数も増加していることから、同省は少なくとも「絶滅危惧IA類」の条件は満たしたと判断した。
改訂版レッドリストでは、トキにだけ寄生する「トキウモウダニ」についても「生息が確認されないが、いないとは言い切れない」(同省担当者)ため、「野生絶滅」から「情報不足」に見直した。
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