図解
※記事などの内容は2018年12月5日掲載時のものです
遺伝子を効率良く改変できる「ゲノム編集」技術を利用した農作物などの食品安全審査について、厚生労働省の調査会は5日、報告書案をほぼまとめた。他種の遺伝子やその一部を導入する場合は、遺伝子組み換え食品と同じく、食品衛生法に基づく安全性審査の手続きが必要。農作物などに既にある遺伝子を欠失させる場合は、開発者の企業などが厚労省に届け出る。
遺伝子の欠失は自然界でも突然変異で起きることがあり、自然に起きない遺伝子導入の場合より手続きを簡略化する方針。報告書案では、厚労省への届け出を法的に義務付けることはしないが、利用した技術の内容や健康に悪影響を及ぼさないことを確認できる情報などを報告してもらう。同省は開発者名を含め、概要を公表する。
厚労省の吉田易範・食品基準審査課長は会合後、「(調査会の上部組織である)新開発食品調査部会でも審議して意見公募を行い、今年度中に報告書をまとめたい」と話した。届け出の具体的な制度は来年度以降に設ける。
吉田課長によると、届け出が必要なゲノム編集食品を輸入する場合、開発者から情報を得て報告してもらう。必要な届け出をせずにゲノム編集食品を流通させた業者を厚労省が把握した場合、業者名を公表する措置も考えられる。
日本ではこれまで、遺伝子組み換え技術で害虫に強くしたトウモロコシやジャガイモなどの安全性審査が行われた。ゲノム編集技術は長年かかっていた品種改良を短期間で行うことができ、収穫量の多いイネや身の厚いマダイなどの研究開発が進められている。
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