図解
※記事などの内容は2016年11月4日掲載時のものです
環境省は来年度、飲酒や歓談に熱心になるあまり料理を残しがちな宴会で、食べ残しをなくすよう呼び掛ける「30・10(さんまるいちまる)」運動の普及啓発に取り組む。運動が先行する長野県松本市をはじめ全国の自治体や飲食店などと連携し、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の大幅削減につなげる。
30・10運動は2011年度に松本市でスタート。宴会開始後の30分は自分の席で料理を楽しみ、終了前の10分になると幹事らが呼び掛け、自席に戻り、残った料理を食べるのに集中するという運動だ。駅前で運動の趣旨を説明したチラシなどを配って市民に呼び掛け、市内の企業に広がった。
その後、同様の食品ロス削減運動は全国に拡大し、北海道では「どさんこ愛食食べきり運動」として展開。環境省のまとめでは、16年度に18道県と62市区町で導入されている。
食品ロスは年間632万トン(13年)に上ると言われる。自治体発で削減に向けた機運が高まったことを受け、同省も国民運動として30・10運動をPRすることを決定。来年度予算案に普及啓発費を計上した。先行的な取り組みとして、昨年12月には運動に共感したデザイナーの協力を得てオリジナルロゴ入りの卓上三角柱のデザイン画を製作。同省のホームページを通じ入手し、組み立てて飲食店などで活用してもらう。
課題は、宴会を開く企業や飲食店との協力。松本市では今年度から、30・10運動に賛同する市内の企業を認定する取り組みを始めた。福岡県は、客が望む料理量を提供するなど食品ロス削減に協力する飲食店や宿泊施設を県のホームページで紹介している。
宴会料理を完食したグループに飲食店が特典を付与するなどのアイデアも浮上しているが、飲食店側は「従業員の負担が増える」と難色を示しているという。同省は今後、業界団体にも粘り強く働き掛けていく方針だ。
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