図解
※記事などの内容は2016年12月16日掲載時のものです
日本とロシアが査証(ビザ)発給要件の緩和で合意した。観光庁が訪日旅行推進事業で20ある重点国・地域の一つにロシアを位置付けていることもあり、旅行業界では「交流拡大が期待できる」(大手幹部)と歓迎の声が上がる。ただ、ロシア経済の低迷を考えると、「中国と異なり、訪日客の増加は限定的だろう」(業界関係者)と冷静な見方も出ている。
2015年のロシアからの訪日客は、前年比15.2%減の5万4000人。08年のピーク時よりも約2割少ない水準だ。国・地域別で首位の中国(499万人)や2位の韓国(400万人)、3位の台湾(367万人)などに比べ、極端に少ない。16年は訪日客が10月に暦年で累計2000万人を超えたが、ロシアからの渡航者は前年同期比1.4%増にとどまっている。重点20カ国・地域の中では最下位だ。
原油価格の下落や、クリミア半島編入などウクライナ問題をめぐる欧米からの制裁で、経済が低迷していることが要因とされる。中国などに比べ航空路線が著しく少ないことも影響しており、訪日客増に向け、路線拡充が課題となる。日本政府観光局は今回、モスクワ事務所を開設し、来年3月に開かれる観光見本市で訪日旅行をアピールすることを決めた。
旅行業界は「ビザ緩和で旅行会社の活躍の場が増える」(関係者)と期待を寄せ、「日本からサハリン(樺太)など極東地域への渡航も増えそうだ」(旅行大手幹部)とみている。
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