図解
※記事などの内容は2017年8月15日掲載時のものです
訪日外国人旅行者(インバウンド)消費が勢いを取り戻してきた。中国人らが家電製品などを家族・知人の分までまとめ買いする「爆買い」は影を潜め、対面販売で化粧品を試しながら購入するといった「自分買い」へのシフトが目立つ。日本ならではの体験を味わえる「コト消費」への期待も高く、百貨店や観光業界が知恵を絞っている。
観光庁によると、今年の4~6月期に訪日客が宿泊や飲食などに使った旅行消費額は1兆776億円と、四半期ベースの過去最高を更新。このうち買い物代は前年同期比15%増の4146億円と大きく伸びた。一方、1人当たりの買い物代は5%減の5万7420円にとどまり、爆買いが盛んだった2015年4~6月期(約7万7000円)とは大きな開きがある。
訪日客数の伸びが客単価の減少を補う構図で、観光庁は「爆買いの頃とは消費の仕方が変わり、化粧品やカメラなどを自分のために買う旅行客が増えている」と分析する。
7月も大手百貨店4社の免税売上高は軒並み2桁増を記録。夏本番を迎え、「特に美白化粧品のニーズが高かった」(三越伊勢丹ホールディングス)。そごう・西武では中国最大の電子決済サービス「アリペイ」を導入した効果が表れた。18日から別の中国系サービスも使えるようにする。
政府は20年の旅行消費額を16年の2倍以上の8兆円に増やす目標を掲げている。達成のカギを握るのがコト消費だ。観光庁の調査では、コト消費を示す娯楽・サービス費が今年4~6月期は343億円と24%増えた。インバウンド消費全体の3%程度にとどまるが、「伸びしろがあり、リピーターを増やす効果も大きい」とみる。
観光業界も取り組みを加速。西武ホールディングス傘下の伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)は今夏、神奈川県箱根町の観光施設「箱根関所 旅物語館」で、着物や浴衣の着付けなど日本文化を体験できるサービスを始めた。利用者数は順調に伸びており、訪日客が7割を超える。JTBは子会社を通じ、人力車や着物レンタルの料金などが割引されるクーポンブックを7月末に発売した。
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