図解
※記事などの内容は2017年2月25日掲載時のものです
政府は、医療機関が蓄積している治療歴などの患者情報について、研究開発目的での2次利用を促す新法「次世代医療基盤整備法案」を今国会に提出する。膨大な電子情報からなる「ビッグデータ」を活用して、新薬開発や新たな治療法の研究につなげるのが狙いだ。早ければ来年中の運用開始を目指す。
新法は、電子カルテや投薬歴、副作用などこれまで医療機関ごとに蓄積していた患者情報について、国から指定を受けた「認定機関」が収集・統合できるようにすることが柱だ。患者のプライバシーに配慮し、個人を特定されないよう情報を匿名加工する。認定機関は高い情報セキュリティー技術を有することなどを条件とし、全国3カ所程度に絞る。
今年5月に全面施行される改正個人情報保護法では、病歴は「要配慮個人情報」に位置付けられ、第三者への提供は患者本人の同意が必要になる。そこで新法は、患者の同意がなくても、自ら拒否を申し出ない限り第三者提供を可能とする例外措置を設け、認定機関への情報集約を促す。
研究機関や製薬会社は「この薬を使用している患者の情報がほしい」といった具体的な要望を認定機関に伝え、得られた情報を研究開発に生かすことができる。膨大なデータを活用することで、革新的な新薬開発や治療法の確立、未知の副作用の発見につながることが期待される。
一方、病歴などの情報は高いプライバシー性を有するため、漏えいへの懸念は根強い。24日の自民党部会では、法案を説明した内閣官房担当者に対し、「情報管理に本当に問題はないのか」との声が出席者から上がった。政府は厳格な情報管理義務を認定機関に課すことなどで、国民の理解を得たい考えだ。
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