図解
※記事などの内容は2019年6月21日掲載時のものです
28、29両日に大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が「保護主義と闘う」との文言を首脳宣言に盛り込まない方向で検討に入った。米国が反発する文言にこだわれば、宣言の採択が困難になると判断。代わりに「開かれた市場」の重要性を訴える文言を使う方向だ。議長国日本と参加国・機関の関係者が21日、明らかにした。
反保護主義の文言は2008年のG20サミット創設以降、必ず明記されてきたが、昨年のブエノスアイレス・サミットはトランプ米政権の反対で初めて削除した。2年連続で見送れば、同政権下では反保護主義の文言を復活させるのは極めて難しくなり、サミットは存在意義を問われることになる。
日本で開かれたG20の貿易・デジタル経済相会合と財務相・中央銀行総裁会議でも、それぞれ共同声明に反保護主義を明記しなかった。貿易摩擦が激化する中、米国を孤立させないことを重視。文言の調整よりも、「世界貿易機関(WTO)改革などの協議に引き込むことを優先する」(関係者)ためだ。
欧州連合(EU)主要国の高官は「保護主義という表現を使えば議論が止まる。別の柔らかい表現が必要になる」と指摘。このため、大阪サミットでは、宣言取りまとめに際して反保護主義の表現明記にこだわらない姿勢で調整を今後本格化させる。日本としては、貿易相会合に盛り込んだ「自由で公平な貿易・投資環境」といった表現を使い、「開かれた市場の維持」へ協調する姿勢を打ち出すことを目指す。
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