図解
※記事などの内容は2019年5月8日掲載時のものです
菅義偉官房長官が9~12日の日程で、米国を訪問する。ペンス副大統領らトランプ政権幹部と相次ぎ会談し、北朝鮮による日本人拉致問題の解決や沖縄の米軍基地負担軽減に向けた日米の連携を確認する。新元号「令和」発表で知名度が急上昇し、「ポスト安倍」候補にも浮上。本人は意欲を見せていないが、外交手腕を発揮して存在感をさらに示すことができるか注目されている。
菅氏は8日の記者会見で「拉致問題の早期解決に向けて擦り合わせを行うとともに、沖縄の基地負担軽減に直結する米軍再編の着実な実施を確認したい」と意気込みを語った。政府の危機管理を担う官房長官の海外出張は極めて異例。就任後の外遊は、2015年10月の米グアム訪問以来で2度目となる。
訪米は、日本政府が米ニューヨークで拉致問題解決を訴えるために開くシンポジウムへの参加が主な目的。これまで歴代の拉致問題担当相が出席しており、菅氏は昨年10月に担当相を兼務して以来、意欲を示していた。ワシントンでは、ポンペオ国務長官やシャナハン国防長官代行とも会談し、前提条件を付けずに日朝首脳会談の開催を目指す日本の立場に理解を求める。
自民党内では、二階俊博幹事長や古賀誠元幹事長が菅氏を「ポスト安倍」候補と公言。外国人労働者の受け入れ拡大や携帯電話料金値下げなど内政課題を中心に高い実務能力を見せてきた菅氏が、このタイミングで異例の外遊に臨むことから、党総裁への意欲の表れとの見方もくすぶる。
菅氏自身は「ポスト安倍」候補と呼ばれることについて「ありがたいが、全く考えていない」と繰り返し否定し、周辺にも「そのうち収まるだろう」と漏らし、平静を装う。訪米中にトランプ大統領と顔を会わせる予定はないが、急きょ面会することになれば米側が菅氏を重視する表れとして、「ポスト安倍」への期待はさらに高まりそうだ。
新着
会員限定