図解
※記事などの内容は2017年4月28日掲載時のものです
【モスクワ時事】安倍晋三首相は27日、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリン(大統領府)で会談した。日本政府が北方領土問題解決への「重要な一歩」と位置付ける4島での共同経済活動を具体化するため、5月にも日ロ合同の官民調査団を派遣することで合意。元島民が初めて航空機を使っての特別墓参を6月に行い、出入域拠点も拡充することで一致した。
会談は約3時間10分に及び、うち50分間は通訳を交えて1対1で行われた。両首脳の会談は第1次安倍政権を含め通算17回目。
会談後の記者発表で、首相は共同経済活動で検討する事業として魚やウニの養殖、豊かな4島の自然を活用した「エコツーリズム」を例示。「北方四島に住むロシア人の生活水準や利便性を向上させることになる。4島で経済活動をする日本人にとっても多くの新しい可能性をつくり出す」と表明した。
また、官民調査団の派遣が「最初の一歩になる」と指摘。「協力を積み重ねる双方の努力の向こうに平和条約がある。両国民間の信頼を増進させ、ウラジーミル(プーチン氏)と私の間で平和条約を締結したい」と在任中の領土問題解決に強い意欲を示した。プーチン氏は「相互理解と信頼が深まっていくのは大変良いことだ」と語った。
元島民の高齢化を踏まえ、両首脳は6月の国後、択捉両島への墓参に航空機を活用するほか、現在、国後島・古釜布沖に限られている出入域拠点を増やしていくことで一致。8月にも歯舞群島付近に新たに拠点を設けることになった。
両首脳は7月上旬にドイツ・ハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて会談することでも合意。首相は、岸田文雄外相とシュワロフ第1副首相による貿易経済政府間委員会を適切な時期に開催したいと呼び掛けた。
新着
会員限定