図解
※記事などの内容は2016年12月10日掲載時のものです
日本とロシアが15、16の両日に開催する首脳会談に向け、8項目の経済・民生協力プランの具体化を急いでいる。
-なぜ協力プランをつくるの。
安倍晋三首相が5月にロシア南部ソチでプーチン大統領と会談した際に「ロシア国民が直接恩恵を実感できるプランを考えている」と話を持ちかけた。ロシアの生活向上などに日本が協力することで、北方領土交渉を前進させる狙いがある。
-協力プランの中身は。
医療や都市環境整備といった生活に身近なものから人的交流、ロシアが開発を急ぐ極東地域の産業振興、資源エネルギー分野と幅広い。ロシア経済協力担当の世耕弘成経済産業相は民間同士の案件だけでも30件に上ると説明している。
-ロシアは歓迎しているの。
極東の開発はプーチン政権の最重要課題だ。クリミア半島編入などウクライナ問題で欧米から制裁を受け、経済が低迷するロシアにとって、日本の協力は渡りに船となるのかもしれない。
-ロシアが期待する案件は。
日ロ両国は協力プランの具体的な内容や工程表を盛り込んだ作業計画で合意した。ただ、計画に盛り込まなかった検討案件もある。
ロシアはサハリン(樺太)と北海道を海底送電網で結ぶ「エネルギーブリッジ構想」の実現を熱望している。モスクワとウラジオストクを結ぶシベリア鉄道を北海道へ延伸する構想もロシア側にはあるという。
-経済協力で北方領土は戻ってくるの。
日本側は期待しているが、今回の経済協力が北方領土の返還につながるかどうかは分からない。ペルーの首都リマで11月中旬に安倍首相とプーチン大統領が会談したが、それ以降、ロシア側からは領土問題で厳しい発言が相次いでいる。
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