図解
※記事などの内容は2016年12月2日掲載時のものです
政府は2日、北朝鮮に対し、人や資金の移動を規制する新たな独自制裁を決定した。資産凍結対象は中国の企業・個人を新たに加えるなどし、43団体・40個人から54団体・58個人に拡大。ただ、独自制裁に残されたメニューは限られており、既存の制裁を含め実効性をどう確保していくかが課題となる。
北朝鮮が9月に行った5度目の核実験や相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は制裁強化決議を決定。独自制裁はこれを受けたもので、拉致問題に進展がないことも考慮に入れた。閣議決定などの手続きを経て順次発動する。
資産凍結の対象に中国企業を加えたのは、これまでの経済制裁で「抜け穴」と指摘される第三国企業による取引を遮断する狙いからだ。米政府も9月に中国・遼寧省の貿易会社を制裁対象とした。
このほか、在日外国人の核・ミサイル技術者の往来規制では、北朝鮮からの再入国禁止対象を拡大。原則禁止としている在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者の再入国についても対象を広げる。外国籍船が対象だった北朝鮮に寄港した船舶の日本への入港禁止も、新たに日本籍の船舶を追加した。
政府は2014年、北朝鮮が拉致被害者の再調査を約束したのと引き換えに独自制裁を緩和した。しかし、今年2月、再調査が進まないことや1月の核実験を受け、再び大幅に強化した経緯がある。
安倍晋三首相は2日、北朝鮮の一連の挑発について「新たな段階の脅威であり、このような暴挙は断じて容認できない」と強調。ただ、残されたカードは少なく、外務省幹部は「米韓両国と一緒にやるというメッセージにはなるが、独自制裁だけでは大したことはできない」と明かす。
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