図解
※記事などの内容は2016年5月25日掲載時のものです
8年ぶりの日本開催となる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が26日から始まる。初めて議長を務める安倍晋三首相は、自らの指導力で世界経済のかじ取り役として先進7カ国(G7)の存在感を高め、参院選に向け追い風としたい考えだ。参加国間に温度差がある中、どこまで足並みをそろえられるか、首相の手腕が問われる。
「最後まで詰めなくていい。最後は首脳で決めるから」。首相はサミットで最大のテーマとなる世界経済に関する首脳宣言の文言について、「シェルパ」と呼ばれる首脳の補佐役に対して、こう指示した。
首相は「G7版3本の矢」として、金融政策、財政政策、構造改革の三つで各国との協調をアピールしたい意向。ただ、先のG7財務相・中央銀行総裁会議では、日本が主張した財政出動について、財政規律を重視するドイツなどが異論を唱えた。為替政策をめぐっては日米間の溝が埋まらなかった。
だが、首相は「首脳同士でガチンコでやる」と周辺に語り、トップ同士による決着に自信を示している。首相の参加は今回で5回を数え、小泉純一郎元首相の6回に次いで歴代首相2位。年齢でも61歳の首相は、メルケル独首相、オランド仏大統領と並び、G7首脳では最年長だ。首相周辺は「安定した政権基盤と積極外交で、国際社会での発信力を強めてきた」と強調した。
首相はサミットに向け、準備にも念を入れてきた。3月から、国内外の有識者の意見を聴取する国際金融経済分析会合を7回にわたって開催。3月末以降の米国訪問と欧州歴訪では、参加国首脳との事前調整に努めた。
サミットでの議論は、来年4月に予定される消費税率10%への引き上げの是非に関する首相の最終判断に影響することは確実だ。野党は「再延期ならアベノミクス失敗」と批判を強めている。首相としては、需要喚起に向けたG7の連携を演出することで、再延期を決断しやすい環境を整える思惑もあるとみられる。
26日は世界経済に続き、テロ対策や外交課題の討議が行われる。首相は中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題に関し、一方的な現状変更にG7が一致して反対することを目指す。
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