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【図解・行政】補償と責任はどこまで?原子力の損害賠償制度(2018年8月)

原子力の損害賠償制度

原子力賠償制度、議論の行方は?=補償と責任はどこまで-ニュースを探るQ&A

※記事などの内容は2018年8月21日掲載時のものです

 政府の原子力委員会が設置した有識者会議がこのほど、原子力事故時の損害賠償制度の見直しに関する報告書案をまとめた。何が議論されたんだろう。

 -損害賠償制度って何?

 1962年に施行された原子力損害賠償法(原賠法)に基づく制度のことで、原子力事故で被害を受けた人の救済が目的だ。電力会社などの原発事業者には、事故の過失・無過失にかかわらず、無制限の賠償責任があると定め、事故に備えて保険加入や、政府との補償契約を結ぶことが義務付けられているんだ。保険、政府補償とも上限は1200億円となっている。

 -そんな額で済むの?

 それが今回の議論で焦点になったんだ。原賠法は事業者に無限責任があるとし、不足分は国が支援すると規定している。国は東京電力福島第1原発事故後、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じ、資金を東電側に貸し付ける形で賠償を肩代わりした。福島関連では既に8兆円超の賠償金が支払われている。

 -1200億円では全然足りないね。

 会議では、保険や政府補償の上限引き上げが議論された。しかし、保険額は既に国際的にも高水準で、保険の引受先の確保が難しいなどとして引き上げは見送られた。無限責任の是非も焦点だった。電力会社などは「無限責任では事業のリスクを予見できない」と主張し、英国やフランスと同様に有限責任とするよう求めたが、「国民の理解が得られない」と退けられた。

 -それでよかったのかな。

 国はエネルギー基本計画などで今後も原発を使用する方針を公表している。このため、会議のメンバーは国の役割が賠償金の支払い支援などに限定されていると不満を示し、原発に関し、国の責任を明記すべきだと訴えていた。それらの問題は先送りされたが、検討を続ける必要があると国は説明している。

 -報告書案の今後は。

 一般から意見を募った上で、正式な報告書にする。政府は提言された修正点などを検討し、来年の通常国会にも原賠法改正案を提出する方向だ。

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