図解
※記事などの内容は2019年2月17日掲載時のものです
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非を問う県民投票では、反対の票数が焦点だ。埋め立て工事を止める法的拘束力はないものの、民意を背景に移設断念を政府に迫りたい玉城デニー知事の発言力を左右する。昨年9月の知事選で玉城氏が獲得した約39万7000票を超えられるかどうかが県民投票の成否を分けそうだ。
◇有権者の4分の1
県民投票条例では、最多得票の選択肢が全有権者の4分の1に達した場合、知事は結果を尊重し、首相や米大統領に通知すると規定している。14日に県が発表した有権者数(暫定値)は115万6295人で、4分の1は約28万9000票。玉城氏周辺は「これを超えなければ県民投票をやった意味がない」との認識を示した。
届かなかった場合、移設容認派が県民投票を「失敗」と断じるのは必至。自民、公明両党は選挙戦が白熱すれば投票率が上がるとにらみ、積極的な運動を控えている。
◇39万票へ懸命-オール沖縄
移設反対派の統一戦線「オール沖縄」に所属する県議は「39万票は超えようと頑張っている」と語った。沖縄振興策なども争点となった知事選で、玉城氏の得票は過去最多だった。辺野古埋め立てへの賛否に絞った県民投票では、これを上回ることを目指す。
知事選の投票率は63.24%で、オール沖縄にとっては県民投票の投票率引き上げが至上命令。玉城氏は期日前投票の呼び掛けに懸命だ。ただ、中立的な立場の地元経営者は「投票率は50%に届かないのではないか」と厳しい見方を示している。
◇58万票で過半数
日米地位協定の見直しと県内米軍基地の整理縮小が問われた1996年の県民投票で、賛成は実に89.09%に上った。投票率は59.53%で、有権者の過半数が賛成票を投じた計算になる。今回の投票で有権者の過半数は約58万人で、日本維新の会の県議は「58万人が反対の意思表示をするとインパクトがある」と指摘するが、ハードルは高い。
菅義偉官房長官は県民投票の結果にかかわらず、移設工事を進める方針を示している。防衛省沖縄防衛局は県に対し、3月25日から新たな区域でも土砂を投入すると通知済み。ただ、有権者の過半数が反対の意思表示をすれば、こうしたスケジュールに影響を与える可能性もありそうだ。
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