図解
※記事などの内容は2017年9月9日掲載時のものです
政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化してから11日で5年。中国公船による尖閣周辺の領海侵入は国有化後に急増し、今や常態化している。今年に入ってからは小型無人機(ドローン)らしき物体を周辺で飛ばす新たな活動形態も確認された。既成事実を着々と積み重ねる中国に、予断を許さない状況が続く。
「わが国としては深刻に懸念し、冷静かつ毅然(きぜん)として対応する」。菅義偉官房長官は8日の記者会見で、相次ぐ日本領海への侵入についてこう強調した。
中国公船による領海侵入は国有化直後に比べ減少したものの、現在も相次いでいる。昨年8月上旬には約200~300隻の中国漁船が尖閣周辺海域に押し寄せ、それに続く形で中国公船が領海侵入を繰り返した。今年5月にはドローンのような物体も確認され、この際に撮影されたとみられる尖閣の映像が習近平国家主席の実績を紹介する中国国営テレビの番組で放映された。
海とともに空の緊張も高まっている。中国は2013年11月に尖閣を含む東シナ海上空に「防空識別圏」を設定。昨年度の中国機に対する緊急発進(スクランブル)の回数は851回と過去最多を更新した。
安倍晋三首相は14年11月、習主席との初めての会談で、尖閣諸島をめぐる緊張回避で一致した。15年1月には、自衛隊と中国軍の偶発的衝突を防ぐ連絡メカニズムの運用開始の協議が約2年半ぶりに再開したが、合意のめどは立っていない。
先月も計8隻の中国公船が領海侵入した。ただ、目立った挑発行為は確認されておらず、「10月の共産党大会までは波風立てないようにしているのだろう」(外務省関係者)との見方がもっぱらだ。安倍政権の幹部は、実効支配へ日本側の反応を試すような中国の動きに「アリの一穴になってはいけない」と危機感を募らせている。
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