図解
※記事などの内容は2017年8月29日掲載時のものです
北朝鮮が29日に発射したミサイルについて、防衛省は中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性もあるとみて、弾種の分析を急いでいる。日本の弾道ミサイル防衛(BMD)態勢の重要度は高まっており、同省は態勢の強化を図る方針だが、迎撃には技術的な課題もある。
「北朝鮮の能力に応じてしっかりとした防衛態勢をこれからも充実させていきたい」。小野寺五典防衛相は29日の記者会見で、ミサイル技術の向上が著しい北朝鮮に対し、迎撃態勢の強化に全力を挙げる考えを示した。
現在、日本を標的とするミサイルの迎撃態勢は、イージス艦搭載の迎撃ミサイルSM3が大気圏外で撃ち落とすことを想定している。失敗しても地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)が高度十数キロで迎え撃つ2段構えだ。
防衛省は対処能力を向上させるため、イージス艦と同じ機能がある陸上配備型新迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の早期導入を図る方針だ。また、SM3よりも迎撃範囲が拡大する「SM3ブロック2A」の日米による共同開発も急いでいる。
もっとも、ミサイルの能力を飛躍的に向上させている北朝鮮に対し、「日本の迎撃能力が追い付いていない」(自衛隊関係者)との見方もある。実際、イージス・アショアの導入が決定しても配備は数年先で、その間は現在の対応を続けざるを得ないのが実情だ。複数のミサイルを同時に撃ち込む「飽和攻撃」が仕掛けられれば、「完全な迎撃は難しい」(防衛省幹部)との指摘もある。
自民党内からは「ミサイルを撃たせないことが必要だ」(防衛相経験者)として、発射前に相手の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を検討すべきだとの声も出ている。
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