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【図解・政治】ポスト安倍と目される岸田氏と石破氏(2020年1月)

ポスト安倍と目される岸田氏と石破氏

安倍路線、継承か転換か=政権取りへ戦略対照的―岸田、石破氏

※記事などの内容は2020年1月3日掲載時のものです

 安倍晋三首相の自民党総裁任期の2021年9月まで残り1年9カ月足らず。今年は「ポスト安倍」候補の面々のうち、次期総裁選への意欲を隠さない岸田文雄政調会長(62)と石破茂元幹事長(62)の動きが活発化しそうだ。2人の戦略は対照的で、岸田氏が首相からの「禅譲」を視野に基本政策の継承を掲げるのに対し、石破氏は経済政策や憲法改正に向けた手法の転換を訴えている。

 ◇「禅譲」に不安も

 「戦争放棄、専守防衛、平和主義は何ら変えることなく、(憲法9条への)自衛隊明記によって現実の矛盾を解消していく」。昨年11月、岸田氏は地元広島市で党員ら約600人を前にこう強調した。
 岸田派(46人)は伝統的に改憲に慎重なハト派色が強い。岸田氏が改憲の旗を振るのは、首相の出身派閥で党内最大の細田派(97人)の支持を得るためだ。
 経済政策でも派内の主流は財政再建論だが、岸田氏は「財政再建は目的であってはならない」と主張。積極財政を柱とするアベノミクス路線を引き継ぎ、成長戦略強化に力点を置く。
 岸田氏の弱みは発信力だ。党内には「選挙の顔」として疑問の声もある。克服に向け、自ら各地に出向く「地方政調会」に取り組み、地方後援会づくりにも本腰を入れている。
 ただ、「桜を見る会」問題や、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件など安倍政権に相次ぐ逆風が禅譲路線に影を落とす。岸田派中堅議員は「静かな時の禅譲なら岸田氏の持ち味が生かせるが、荒れた海では(安倍政権と)同一視される」と不安を口にした。

 ◇課題は議員票

 年末年始を地元で過ごした石破氏は1日、鳥取市内で記者団に「国の価値観を転換することはやはり、地方から起こしていかねばならない」と強調、地方創生を旗印に総裁選に挑む姿勢を打ち出した。「共に国家を語れる人は実は大勢いる。真剣に語る機会を増やしていきたい」とも述べ、国会議員の支持拡大に意欲を示した。
 直近の報道各社の世論調査で石破氏は、「次の首相にふさわしい人」でトップを走るケースが多い。今年も地方行脚を重ね、世論に近いとされる党員票への浸透を図る考えだ。
 課題は国会議員の支持。首相と対決した過去2回の総裁選は、いずれも議員票が伸び悩んだ。石破派(19人)の幹部は「世論調査で首位を維持すれば、永田町の意識も変わる」と期待するが、他派閥との連携に向けた動きは乏しい。
 首相の改憲案を批判したり、地方重視の経済政策への転換を訴えたりし、政権と距離を置く姿勢を続けていることにも「野党に行けばいい」(閣僚)と反発を招いている。
 党内では、今夏の東京五輪後に首相が退任し、緊急対応を理由に、岸田氏が有利とみられている国会議員票のみで総裁選を行おうとしているのではないかとの観測も出ている。
 「首相である自民党総裁を選べることが自民党員であることの一番の意義だ。党員がきちんと(総裁を)選ぶことは必要不可欠だ」。石破氏は先月26日のCS番組でこうけん制したが、「石破包囲網」が築かれることへの危機感もにじむ。 

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