図解
※記事などの内容は2019年2月22日掲載時のものです
自民党内で安倍晋三首相(党総裁)の後継をめぐる探り合いが活発化している。2021年9月の総裁任期満了まで2年半以上を残すが、4月の統一地方選と夏の参院選が重なる12年に1度の「亥(い)年選挙」の結果次第で政局が一気に流動化する可能性は否定できず、「ポスト安倍」候補は、互いに動向を注視している。
「岸田さん、次は(総裁選に)出るんでしょ」。首相は18日夜、岸田文雄自民党政調会長、野田聖子衆院予算委員長ら初当選同期との会食で、こう問い掛けた。
岸田氏は無言だったが、野田氏がすかさず「私もいる」と声を上げた。ただ、二階俊博幹事長の側近の林幹雄幹事長代理が「(総裁)4選もあるんじゃないの」と割り込むと、場は「しらけたムードになってしまった」(出席者)という。
総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する党則改正を主導したのは二階氏。自前のポスト安倍候補が見当たらない二階派にとって望ましいのは安倍政権の継続だ。林氏の発言は二階氏による再延長を連想させ、党内に「何を考えているのか」(ベテラン)と波紋が広がった。
二階派の動きに岸田氏は神経をとがらせる。4選論が仮に広がりを見せれば、自身のチャンスが遠のく可能性があるからだ。岸田派の元職と衆院選挙区で競合する無所属の細野豪志氏を、二階氏が派閥に引き込み、二階派との間で火種を抱えた事情もある。岸田氏は20日、4選論について問われ「今の段階でどうこう言う材料を私は持っていない」と素っ気なかった。
昨年の総裁選で首相に敗れた石破茂元幹事長は、「反安倍」の姿勢を強めている。21日のテレビ番組の収録では、首相が先に、石破派を除く6派との秘密会合を開いたことに触れ、「堂々とやればいい。裏口から入ることもないし、かん口令を敷くこともない」と批判した。
竹下派に属しながら首相に近い加藤勝信総務会長もポスト安倍に意欲を示す。22日の記者会見で加藤氏は「役割をしっかり果たし、国民の負託に応えられる政治の実現に取り組みたい」と語った。竹下派では会長代行を務める茂木敏充経済再生担当相も首相候補と目されている。
河野太郎外相は将来を見据えて今年もハイペースで外遊を続け、小泉進次郎厚生労働部会長も国会改革などに取り組んでいる。
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