図解
※記事などの内容は2019年1月31日掲載時のものです
毎月勤労統計の不正調査問題をめぐり、安倍晋三首相が野党の集中砲火を浴びる根本匠厚生労働相を徹底して擁護、続投させる方針を繰り返し明言している。旧民主党政権を含む歴代内閣で続けられてきた不祥事だとの思いが強いためで、第1次政権時のような「辞任ドミノ」に発展する事態も警戒しているもようだ。
首相は31日の衆参両院の代表質問で、統計問題に関し「長年にわたって誤った処理が行われ、それを見抜けなかった責任は重く受け止めている」と述べた。不正は第2次安倍政権の発足前から厚労省内で行われてきたことから、安倍政権だけの問題ではないと印象付ける狙いがある。
根本氏は首相と衆院当選同期で親しい間柄。参院選への影響を抑えるため、自民党執行部の中にも「根本氏の首を差し出すしかない」との声が上がるが、首相は野党からの罷免要求に国会答弁で一貫して「再発防止の先頭に立ってもらいたい」と突っぱねている。
2006~07年の第1次政権では「政治とカネ」の問題や失言で閣僚が次々と辞任するなどの事態に発展。07年の参院選大敗とその後の退陣につながった。
現在、閣内には財務省の決裁文書改ざんなどで責任を問われた麻生太郎副総理兼財務相や、政治資金収支報告書の訂正が相次いだ片山さつき地方創生担当相らを抱える。公明党幹部は「根本氏は絶対辞めない。仮に辞任すれば、なぜ麻生氏は辞めないのか、となる」と指摘。与党関係者も「野党の罷免要求に屈しないのは、辞任ドミノを避けるためだ」と解説する。
これまでのところ各種世論調査で内閣支持率に不正調査問題の影響は見られず、数で劣る野党も攻め切れていないのが実態。「不思議なのは、権力を掌握している間に不正を見つけられなかった旧民主党の方々が、不正を見つけた安倍政権を叱り飛ばしていることだ」。政権と気脈を通じる日本維新の会の馬場伸幸幹事長は31日の代表質問で、旧民主党出身者が主流の立憲民主、国民民主両党をこう皮肉り、援護射撃した。
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