図解
※記事などの内容は2018年5月11日掲載時のものです
学校法人「加計学園」による愛媛県今治市への獣医学部新設問題で焦点となっている柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)と関係者の3年前の面会に関し、柳瀬氏と中村時広同県知事の説明が食い違っている。県職員の同席の有無について、柳瀬氏は「いたかもしれない」と曖昧だが、中村氏は職員が柳瀬氏の前に座ったと主張。野党は疑惑が深まったとして追及姿勢を強めた。
柳瀬氏は10日の参考人質疑で、面会では学園関係者がメインテーブルに座り、「バックシートにも何人か座っていたように思う」と答弁。県や市の関係者については「10人近くの同席者の中にいたかもしれない」とし、「私が保存している中に(県・市職員の)名刺はなかった」と述べた。
一方、中村氏は11日の記者会見で、面会に臨んだ職員から聞き取ったとし、テーブルを挟んで職員3人が柳瀬氏から見て正面左側に着席したと説明した。職員が交換したという柳瀬氏の名刺も公開。「27.4.-2」(平成27年4月2日)との日付がスタンプで押され、柳瀬氏の名の下に「経産」との記載がある。中村氏は面会者は県と市、学園の計6人で、時間は約40分とも語った。
県作成文書に柳瀬氏が「首相案件」と発言したとの記載があることについて、柳瀬氏は「総理が早急に検討していくと述べている案件だという趣旨は紹介した」とし、「私は首相という言葉は使わないので、違和感がある」と説明。中村氏は「総理案件と首相案件は同義語。地方で総理はあまり使わない」と指摘し、「職員がありのままに書いている」と反論した。
また、柳瀬氏が、面会の際は学園関係者がメインスピーカーだったと説明したのに対し、中村氏は「県の熱意を伝えるために行った」と強調。職員による面会時の説明内容のメモも公表した。中村氏は、一般論と断りながら「うそは発言した人にとどまらず、他人を巻き込む」と語った。
柳瀬、中村両氏の主張のずれに関し、野党は11日、合同ヒアリングで関係府省から事情を聴いた。立憲民主党の辻元清美国対委員長は党会合で「(柳瀬氏が)うその上塗りをした疑いが出てきている」と指摘。共産党の山下芳生副委員長も「『加計ありき』の疑念は深まった」と強調した。
与党からも「質疑の翌日にこれでは何を言っても信用されなくなる」(石破派幹部)、「問題はずっと続く」(閣僚経験者)との声が漏れた。
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