図解
※記事などの内容は2017年8月3日掲載時のものです
◇高まる存在感=副総理兼財務・金融 麻生太郎氏(留任)
自民党内で自身が率いる派閥と旧山東派の合流を果たし、第2派閥に躍り出た。安倍晋三首相の求心力が揺らぐ中、存在感を高めている。第2次安倍政権以降、副総理兼財務相を務めており、2度の消費税増税延期で煮え湯を飲まされた格好となりながらも、首相との信頼関係に変わりはない。祖父は吉田茂元首相。歯に衣(きぬ)着せぬ発言にはファンが多い半面、批判を招くこともたびたび。マンガやアニメに造詣が深く、筆まめなことでも知られる。76歳。(麻生派)
◇次期総裁選に意欲=総務 野田聖子氏
前回の党総裁選では安倍晋三首相の無投票再選を阻止すべく立候補を目指したが、20人の推薦人が確保できなかった。既に次期総裁選への意欲を明言しており、閣内にあって首相との違いをどう示すかが課題となる。37歳で小渕内閣の郵政相に抜てきされ、当時の戦後最年少入閣を果たした。女性の活躍や少子化対策に関わる政策に力を入れてきた。郵政民営化をめぐって、2005年に離党も経験。復党後は消費者行政担当相や党総務会長を務めた。56歳。(無派閥)
◇安定感買われ再登板=法務 上川陽子氏
法相は再登板。2014年に選挙区内でのうちわ配布で辞任した松島みどり氏のピンチヒッターに起用され、性犯罪厳罰化の検討などを進めた。その安定感を買われ、「共謀罪」法(改正組織犯罪処罰法)審議で不安定な答弁を繰り返した金田勝年氏の後釜に選ばれた。米上院議員の政策立案スタッフの経験があり、実務能力への評価は高い。党憲法改正推進本部の事務局長として、拡散する議論の整理に努めた。「プライドが高く、とっつきにくい」との評も。64歳。(岸田派)
◇脱原発持論の熱血漢=外務 河野太郎氏
2015年に行政改革担当相に起用され、予算の無駄に果敢に切り込んだ。脱原発を持論とし、高速増殖炉「もんじゅ」関連交付金の大幅カットや、運用実績の乏しい核燃料運搬船の使用終了を主導した。父の洋平元衆院議長も務めた外相ポストを射止め、将来の首相候補として認知されることを狙う。熱血漢で歯に衣(きぬ)着せぬ物言いのため、党幹部らと衝突することも多い。09年の野党転落直後の総裁選に出馬し、谷垣禎一氏に敗れた。サッカーファン。54歳。(麻生派)
◇党内屈指の政策通=文部科学 林芳正氏
参院議員では異例の5回目の入閣。党内屈指の政策通で安定感があるため「救援投手」としての登板もあり、おととしは政治献金問題で辞任した西川公也元農林水産相の後を継いだ。今回は天下りや学校法人「加計学園」の問題で混乱した文部科学省の立て直しに向け、手腕が問われる。地元・山口県下関市では安倍晋三首相と2代にわたって覇を競う関係。2012年の総裁選で敗れたが、再出馬に意欲を見せ、衆院へのくら替えを模索する。ギターの腕前はプロ級。56歳。(岸田派)
◇看板政策の請負人=厚生労働 加藤勝信氏
旧大蔵省で培った実務能力に定評があり、官房副長官時代には内閣人事局の初代局長として官邸主導の人事に道筋を付けた。2015年秋に初入閣して以降は、「1億総活躍」「働き方改革」と安倍政権の看板政策を担ってきた。連合の神津里季生会長は小・中学校の同級生で、残業時間の上限規制では連合と経団連の合意を取り付けた。首相の父・故晋太郎氏の側近だった故加藤六月元農林水産相が岳父で、娘4人の父親。足裏マッサージが楽しみの一つ。61歳。(額賀派)
◇若手政策通の代表格=農林水産 斎藤健氏
東大在学中はハンドボール部で主将を務めた熱血漢。旧通商産業省に入省し、日米自動車交渉に携わったほか、埼玉県副知事を務め、地方行政も経験した。若手を代表する政策通で、農協改革では自民党農林部会長として汗をかいた。初当選は自民党が野党に転落した2009年衆院選で小泉進次郎氏は同期。今年1月、自民会派に入った無所属議員の同党会議へのオブザーバー参加を認めた二階俊博幹事長に対し再考を求め、小泉氏とともに直談判に及んだ。58歳。(石破派)
◇日ロ外交で首相補佐=経済産業 世耕弘成氏(留任)
安倍晋三首相の側近。第2次政権発足時に官房副長官に就き、日ロ外交を補佐した。2016年夏に経済産業相で初入閣後、新設の「ロシア経済分野協力担当相」に就任し、8項目の経済・民生協力プランの具体化を進めた。「プレミアムフライデー」の旗振り役を務め、初回に百貨店のカーリング場でストーン投げに挑戦。情報管理を強化するため経産省内の全執務室を施錠し、「取材規制」と批判を浴びた。妻は元民進党参院議員の林久美子さん。54歳。(細田派)
◇手堅さ定評の代表候補=国土交通 石井啓一氏(留任)
旧建設省の技官出身で、手堅い仕事ぶりには定評がある。学校法人「森友学園」への国有地格安売却をめぐる国会答弁では、価格算出の経緯を実務的によどみなく説明し、安倍晋三首相から「任せて安心」と信頼を得た。秋の臨時国会では、党内に反対論もあるカジノを含む統合型リゾート(IR)の実施法案の扱いで調整力が問われる。党政調会長を5年務め、経済政策にも明るく、次期代表候補と目されるが、「地味」「面白みがない」との評も消えない。59歳。(公明)
◇「持続可能な社会」目指す=環境 中川雅治氏
旧大蔵省出身で、環境省事務次官を経て政界入り。税財政と環境の両分野で「持続可能な社会づくり」をライフワークに掲げる。若手官僚時代、たまたま乗った全日空機でハイジャック事件に遭い、他の乗客と共に犯人を取り押さえて国から表彰された武勇伝を持つ。参院国家安全保障特別委員長として特定秘密保護法を採決する際は、野党の妨害に備えて議事進行メモを暗記して臨んだ。温厚な性格で「押し出しが弱い」との評も。歴代首相の物まねは名人芸の域。70歳。(細田派)
◇安保通の泣き虫大臣=防衛 小野寺五典氏
第2次安倍内閣での経験を買われ、再び防衛相として入閣した。宮城県職員として水産資源の研究に携わった後、松下政経塾に入塾。外交・安全保障への関心が高く、毎年のようにワシントンを訪問している。防衛相の離任式では涙を見せ、制服組の心をつかんだ。丁寧な語り口で人当たりも柔らかく、学校法人「加計学園」の問題に関する衆院予算委員会の閉会中審査では自民党の質問者を任された。党内からは「目立ちたがり屋」「面倒見に欠ける」との辛口評も。57歳。(岸田派)
◇政権の顔、威光に陰りも=官房長官 菅義偉氏(留任)
霞が関の官僚を掌握し、野党対策、危機管理などで安倍政権を切り盛りしてきた。政権復帰以降、官房長官の在職日数は歴代最長記録を更新中で、安倍政権の「顔」的存在だ。ただ、学校法人「加計学園」をめぐる対応では、強気が裏目に出て支持率急落の一因となるなど、威光に陰りも出てきた。政権最大のピンチに手腕が問われる。秋田県出身で、今では珍しくなったたたき上げの党人派。ホットチョコレートを飲みながらパンケーキを食べる大の甘党でもある。68歳。(無派閥)
◇震災復興がライフワーク=復興 吉野正芳氏(留任)
失言で辞任した今村雅弘氏の後釜として4月に就任。福島県いわき市出身で、東日本大震災の津波により自宅が半壊、選挙事務所も全壊して以来、復興がライフワークとなっている。県議3期を経て、2000年の衆院選で初当選した「たたき上げ」。衆院福島5区では元職の坂本剛二元経済産業副大臣と競合し、調整の末、比例代表中国ブロックから出馬した経験がある。素朴な語り口が特徴で、こうと決めたら譲らない頑固な一面も。孫と遊ぶのが余暇の楽しみ。68歳。(細田派)
◇答弁に不安も=国家公安・防災 小此木八郎氏
念願の初入閣。父は元建設相の彦三郎氏。同氏の秘書を務めた菅義偉官房長官と親しい間柄だ。信条的には石破茂自民党元幹事長と近かったが、石破派立ち上げには加わらず、今は距離を置いているとされる。党内調整などを担う幹事長室や国会運営の裏方である国会対策での仕事が長い。周囲は人情味のある親分肌との評価がもっぱらだ。ただ、血気盛んな面もあり、国会答弁を不安視する声もある。同僚議員で組むバンド「ギインズ」ではボーカルを担当。52歳。(無派閥)
◇二階氏の同志=沖縄・北方 江崎鉄磨氏
1993年に旧新生党で初当選以来、二階俊博氏と行動をともにしてきた同志。旧保守党などを経て自民党入りした。二階氏の信頼は厚く、派閥の事務総長も任された。副大臣を務めた国土交通分野に関心が高い。消費者問題には衆院特別委員長の経験から土地勘があるものの、米軍普天間飛行場移設問題で国と対立する沖縄県と信頼を醸成できるかは未知数だ。父は通商産業相などを歴任した真澄氏。少林寺拳法4段で、創始者の宗道臣氏の秘書も務めた。73歳。(二階派)
◇キャリア重ね将来にらむ=経済再生・人づくり革命 茂木敏充氏
仕事ぶりに対する安倍晋三首相の評価が高いというのは、永田町で知られた話だ。経済や外交など幅広い政策に精通している上、選挙実務にも明るく、首相にとっては政権を支える頼もしい存在に映る。重要閣僚や党四役を歴任。総裁選出馬を狙えるまでのキャリアは着実に積み重ねてきた。一方、仕えたスタッフからは相変わらず、「要求内容が高く、周りが付いていけない」とのため息が漏れる。将来を見据えた足場固めが課題と指摘する声は少なくない。61歳。(額賀派)
◇元JC会頭のボーカリスト=1億総活躍・科学技術 松山政司氏
前通常国会の「共謀罪」法をめぐる与野党攻防で、「中間報告」という奇策を繰り出し、成立に持ち込んだ現場責任者。実家は建設会社で、日本青年会議所(JC)会頭を経て政界入り。国会対策など党務が長いが、参院国対委員長としては民進党に押される場面も目立った。JC時代から北方領土問題の解決にも熱心。国会議員による音楽ユニット「ギインズ」として活動、ボーカルの実力はセミプロレベル。初入閣で未知数の行政手腕が問われる。58歳。(岸田派)
◇筋通す実務派=地方創生 梶山弘志氏
官房長官や党幹事長を歴任した故梶山静六氏の長男。動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)職員などを経て、静六氏の弔い戦となった2000年の衆院選で初当選した。12年の総裁選では石破茂氏の推薦人に名を連ねたが、静六氏を政治の師と仰ぐ菅義偉官房長官とも近さを保つ。派手さはないが、筋を通す人柄は「父譲り」と言われる。国土交通副大臣や党政調副会長などで実務を担い、調整力の高さに定評がある。趣味はスポーツ観戦。61歳。(無派閥)
◇「復興五輪」に取り組む=五輪 鈴木俊一氏
2002年の初入閣以来、2度目の入閣。東日本大震災で甚大な被害が生じた岩手県沿岸部が地元だ。4月に復興相に起用された吉野正芳氏の後任として衆院東日本大震災復興特別委員長を務めた。前任の丸川珠代氏のような派手さはないが、実直な人柄を見込まれ、20年東京五輪・パラリンピックに向けて、東京都などとの調整を担う。被災地の復興を五輪を通じて見てもらうという「復興五輪」の実現にも取り組む意向だ。父は鈴木善幸元首相。64歳。(麻生派)
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