図解
※記事などの内容は2017年6月4日掲載時のものです
学校法人「加計学園」が国会論戦の焦点になってきた。国家戦略特区で獣医学部新設を認めた経緯について、安倍晋三首相が「岩盤規制」の改革を訴えるのに対し、民進党などは「お友達優遇」と批判している。
-何が問題なの?
加計学園の理事長は首相の友人で、一緒にゴルフをする仲なんだ。首相が友人の利益になるように働き掛けたり、首相周辺もそうした意向を忖度(そんたく)したりして、行政の公正さが損なわれたのではないか、と野党は疑っている。首相は仮に働き掛けがあったのなら「責任を取る」と言っているよ。
-首相は、獣医学部新設について「反対が強くて50年間できなかった」と話しているね。
その通りだ。政府は1984年以降、獣医師の需要は満たされているとして、既存の16大学以外の新設を認めない方針を取ってきた。背景には、人材の過剰供給を嫌う獣医師会の意向があるんだ。
-安倍政権になって方針が変わったの?
そうではないんだ。愛媛県今治市は2007年以降、構造改革特区として獣医学部新設を繰り返し提案していたが認められなかった。旧民主党政権が検討に入ることを決めて、安倍政権に引き継がれた。首相は国会で民進党の追及に「民主党政権も大変ご苦労された」と言い返していたよ。
-首相の働き掛けはあったの?
内閣府が大学を所管する文部科学省に「総理のご意向」と伝え、手続きを急がせたことを記録したとされる文書を、民進党が示している。同省の官僚トップだった前川喜平前事務次官も文書の存在を認め、「行政がゆがめられた」と語っている。だけど政府は「怪文書」(菅義偉官房長官)だとして事実関係を否定しているんだ。
-行政がゆがめられたの?
政府は15年に、獣医学部新設の条件として「具体的な需要が明らか」「既存の大学では対応困難」などの4項目を定めていた。前川氏は、人材需要などが示されないまま「極めて薄弱な根拠の下で」獣医学部新設が決まったと主張している。内閣府は、条件を満たさないならば、文科省が立証すべきだったと反論している。
京都産業大も獣医学部新設を提案していたけど、特区諮問会議が広域的に獣医学部がない地域だけに新設を認める方針を示したので断念した。共産党は「加計学園ありきだ」と批判しているよ。
-真相はよく分からないんだね。
文科省が首相補佐官や内閣官房参与から圧力を受けたとの疑惑が次々に指摘されているけど、みんな「記憶がない」と語っていて、与党は国会招致も拒んでいる。政府は国民が納得のいく説明をする必要がありそうだね。
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