図解
※記事などの内容は2019年12月22日掲載時のものです
国土交通省は、地方などで路線バスや鉄道の維持が困難な場合、地方自治体が交通サービス維持に向けた今後の方針を策定し、新たな事業者を募集できる仕組みを創設する方針を固めた。既存事業者が路線の廃止届を出すより早期の段階から自治体に関与してもらい、地域の「足」が維持できなくなる事態を防ぐ狙い。来年の通常国会に地域公共交通活性化再生法改正案を提出する。
人口減少に伴い、地域のバスや鉄道といった公共交通は利用者が減少。2018年度は全国の路線バス事業者のうち約7割が赤字となるなど、地方を中心に経営環境は悪化しており、路線を廃止せざるを得ないケースも目立つ。
バスの場合、事業者が地方運輸局に届け出を行ってから半年で路線が廃止されるため、その間に代替の交通サービスに関する議論を十分行えない恐れがある。このため国交省は、路線維持が困難と見込まれる時点で、自治体が既存事業者を含む関係者と合意の上、他の事業者による運行やデマンドタクシーによる継続といった今後の方針を定め、サービスを提供する新たな事業者を募集する仕組みを法的に位置付ける。
また国交省は、地域に最適な生活交通の在り方を示す「地域公共交通網形成計画」について、「地域公共交通計画」に改称した上で、自治体による策定を任意から努力義務へと改める方針だ。計画には地域交通維持に向けた数値目標を盛り込むことも法律で明記。数値目標の種類は、利用者数や収支率の他、自治体による支援額などを想定しており、計画を策定すれば国から乗り合いバスの運行費の支援も受けられるようにする。
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