図解
※記事などの内容は2018年10月14日掲載時のものです
地方自治体に防災対策を促そうと、財務省が防災行動計画(タイムライン)やハザードマップ(被害予測地図)の整備を進めた自治体に交付金を重点配分する予算改革を検討していることが14日、分かった。社会資本整備予算について議論する16日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)分科会に提示し、11月下旬にも策定する建議に盛り込む考えだ。
重点配分は、国の予算から自治体に支出する公共事業関連の交付金で実施することを想定。今夏の西日本豪雨や相次ぐ台風の被害などで浮かび上がった防災上の問題を改善するため、自治体の優良な取り組みを予算面で後押しする。
タイムラインは、住民への避難勧告や電車・バスの運行停止といった災害対応について、市町村や関係機関がどんなタイミングで実施するかを時系列でまとめた計画。水害に関しては、国土交通省が警戒の必要な全国1161市町村に対し、2021年度末までの策定を求めているが、5月末時点の集計では、策定済みは37%の429団体にとどまっている。
また18年版の防災白書によると、高潮のハザードマップを公表している自治体は対象645市町村の21%にすぎない。洪水マップは対象の1331市町村の98%が公表しているが、雨量の想定が甘いと指摘される例があるのに加え、先の西日本豪雨では住民が十分に内容を把握せず被害が広がった地域もあった。財務省はハザードマップ改善や周知に取り組んだ自治体も重点配分による優遇対象としたい考えだ。
同省は16日の財政審分科会で、道路の整備や維持・管理に必要な財源を捻出するため、一部の国道などを有料化する案も打ち出す方向。ただ、道路整備が進めやすくなる一方で、地域住民も含めた道路利用者の負担増が懸念されるため、自治体からは有料化反対の声が出る可能性もある。
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