図解
※記事などの内容は2018年10月9日掲載時のものです
東京都の豊洲市場(江東区)は11日に開場する。当初は2016年11月の開場予定だったが、小池百合子知事が延期を表明し、約2年遅れた。重要案件をトップダウンで決める手法は「小池劇場」として世論の注目を集めたが、事務方の調整を度外視した決断に市場移転問題は迷走し、「単なるパフォーマンス」との批判も受けた。
老朽化した築地市場(中央区)からの移転計画に対し小池氏は16年8月末、安全性への懸念や情報公開が不十分との理由で移転を延期。9月には、主要施設の地下にあるはずだった土壌汚染対策の盛り土がないことなども明らかになった。ただ、小池氏周辺が「都民に安心感を与えることができた」と説明する追加対策工事には38億円を費やし、「やり過ぎでは」(幹部)との声も漏れる。
一方、小池氏は17年6月、市場を豊洲に移しつつ、築地は5年後をめどに「食のテーマパーク」として再開発する基本方針を公表。ところが、築地再開発との競合を懸念した豊洲の観光施設整備事業者が撤退をちらつかせると「食のテーマパークは一つの考え方」と一気にトーンダウンした。
今年5月には、この事業者との交渉打ち切りに傾く担当者の頭越しに、施設の着工を20年東京五輪・パラリンピック後に延期することで合意。大会期間中は、都がイベントを開催し豊洲を盛り上げることが決まった。
9月26日の都議会で自民党議員は「職員の知識や経験を活用して事業を積み上げることが最も大事。パフォーマンス優先の2年間を真摯(しんし)に改めるべきだ」と小池氏を批判。しかし、小池氏は「都民ファーストを揺るがぬ信条とし、丁寧に時には大胆に、真に実効性ある都政にまい進する」と淡々と語った。
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