図解
※記事などの内容は2018年10月5日掲載時のものです
「日本の台所」として83年もの間、食生活を支え、外国人観光客にも人気が高い築地市場が6日閉場し、解体される。11日には豊洲市場が築地に代わる中央卸売市場として誕生する。
-なぜ移転するの?
老朽化が一番の理由だ。築地が開場したのは1935年。鮮魚などを扱うことから衛生面を懸念する声もあり、東京都は91年、築地での再整備計画をまとめて着工した。しかし、営業しながらの建て替えは難しく工費もかさんだことから、99年に再整備から移転へと方針転換。石原慎太郎知事時代の2001年、豊洲地区にあった東京ガス工場跡地への移転を決定したんだ。
-移転実現までには随分時間がかかったね。
土壌調査で有害物質のベンゼンが環境基準の4万3000倍も検出し、土壌汚染対策工事が必要になったためだ。さらに、16年8月に就任した小池百合子知事は、同11月に決まっていた移転の延期を表明。その1カ月後には、建物の地下の一部で汚染対策の盛り土がないことが分かり、追加の対策工事を行った。結局、豊洲への移転決定から実現までは17年を費やし、石原氏から小池氏まで4人の知事が関わったことになるね。
-豊洲は安全なのかな?
小池氏は今年7月末に「安全宣言」を行い、9月には国から移転が認可された。ただ、豊洲の地下水調査では、依然として環境基準の100倍を超えるベンゼンを検出しており、9月には敷地内で地盤沈下によるひび割れが複数見つかった。都は「安全性に問題はない」と話しているが、引き続き安全対策に万全を期してほしいね。
-市場移転後の築地はどうなるの?
すぐに解体工事が始まり、並行して20年東京五輪・パラリンピックで選手や大会関係者を輸送するバスや乗用車約2700台分を駐車するための車両基地を整備する。跡地の一部は、五輪選手村と都心を結ぶ都道「環状2号線」の用地としても活用する。
-五輪後は?
都は20年以降を見据え、築地の新たなまちづくりの素案を年末に示す方針だ。築地から東京湾岸につながる臨海部を段階的に再開発していく構想もある。開発事業者の一部からは、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を求める声もあるが、都は今のところ態度を明確にしていない。
-築地には場外市場もあるけど。
場外市場は今後も築地に残る。地元の中央区は今後も水産・青果の卸売業者と一般のお客さんの双方を呼び込もうとPRしている。都は、築地と豊洲の相乗効果でにぎわいを創出することにも期待しているんだ。
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