図解
※記事などの内容は2018年9月29日掲載時のものです
築地市場(東京都中央区)から移転する豊洲市場(江東区)の開場まで2週間を切ったにもかかわらず、使い勝手を左右するアクセス面の不備を心配する声が市場関係者の間で高まっている。物流の大動脈となるはずの幹線道路が未開通のほか、公共交通機関の対応も不十分で、周辺の渋滞や来場困難などによる不満や苦情が噴出しそうだ。
最も問題視されているのが、豊洲市場内を貫いて都心部と臨海部を結ぶ幹線道路、環状2号線の開通が新市場のスタートに間に合わなかったことだ。開場直後から周辺道路の激しい渋滞が予想され「取引先によっては深刻な納品遅れが出そう」(仲卸業者)。小売店や料理店などへの配送遅延が続けば「早々に(豊洲に)見切りを付ける人が出るかもしれない」(同)と危機感を抱く声も上がる。
買い出し人らからも豊洲へのアクセスに不満の声が多い。築地への仕入れの足として長年愛されたJR新橋駅発の都営バスは「豊洲市場行き」として再出発するが、当面は所要時間が倍以上になり「時間がかかり過ぎて使えない」と都内の飲食店主。臨海部を走る新交通ゆりかもめも「始発がバスや築地で利用していた地下鉄より遅く、朝一番の仕入れには間に合わない」(都内のすし店)と不評だ。
こうした交通の便の悪さから、来場手段を車やオートバイに切り替えようとする人も少なくないが、駐車場不足から「新規では割り当ててもらえなかった」(都内のそば店)など利用を断られるケースが頻発。買い出し人で組織する団体のある幹部は「場内の駐車場は既に満杯。東京都は自動車利用者の想定が甘かったのではないか」と厳しい目を向ける。
環状2号線は11月上旬に築地-豊洲間が暫定的に開通する予定だが、カーブがきつく道幅も狭いため大型トラックの通行は厳しい。当面は混雑が続くとみられ、都は対策としてパンフレットや掲示版で状況に応じた推奨ルートを提案して混雑の緩和を目指すという。しかし、市場関係者の反応は「焼け石に水」(仲卸業者)と冷ややかで、効果を疑問視する声が多い。
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