図解

【図解・政治】衆院選・民主党政権3年の歩み(2012年11月)

◎既成政党への不信増幅=迷走続きの3年-民主政権【12衆院選】

※記事などの内容は2012年11月24日掲載時のものです

 2009年8月末の衆院選で自民党を破り、政権交代を果たした民主党。3年余りの政権運営は迷走の連続で、首相はこの間に2回も代わった。民主党政権への期待は高かっただけに、既成政党に対する有権者の不信が増幅。結果として「第三極」を目指す政党の乱立を招いた。(肩書はいずれも当時)

 ◇日米同盟損ねる
 「脱官僚依存の政治を実践し、無駄遣いを一掃する。政治主導、国民主権、真の意味での地域主権の世の中をつくり上げていく」。09年9月16日の鳩山由紀夫首相の就任記者会見は、政権交代の高揚感で満ちていた。
 各種世論調査で鳩山内閣発足時の支持率は軒並み6割を超え、党運営の実権をあずけた小沢一郎幹事長との「小鳩」体制は、強い追い風を受けてスタートした。
 しかし、年末の10年度予算編成は財源確保が難航、早くも試練となった。財源対策として小沢氏の主導でマニフェスト(政権公約)の柱の一つだったガソリン税の暫定税率撤廃が見送られたが、子ども手当や高校無償化などを盛り込んだ結果、一般会計総額は初めて90兆円を突破。予算の組み替えや無駄削減で13年度までに16.8兆円の財源を捻出するとしていたマニフェストの弱点が浮き彫りになった。
 外交の未熟ぶりはより深刻だった。米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山氏は政権交代前の「最低でも県外」との自らの発言に執着。09年11月、オバマ大統領に「トラスト・ミー(私を信じて)」と早期決着を約束しながら、調整は難航。結局、新たな移設先は見つけられず、自民党政権時代に固まっていた名護市辺野古に回帰した。鳩山政権は米国の信頼を失い、「県外」に一時沸いた沖縄県民にも見放される形となった。
 小沢氏の元秘書が政治資金をめぐる事件で逮捕され、小鳩の求心力は一気に低下。迫る参院選への影響を懸念する声が民主党内で強まり、鳩山氏は10年6月、小沢氏を道連れに辞任した。

 ◇震災対応が混乱
 後を継いだ菅直人首相は、7月の参院選前に唐突に消費増税を表明したが、低所得者対策などをめぐる発言のぶれが批判を浴び、参院選は大敗。「ねじれ国会」が再現した。  9月、尖閣諸島沖での漁船衝突事件で中国人船長を逮捕・送検しながら、中国側が対抗措置を強めると、船長を釈放。ちぐはぐな対応は野党の追及の的となった。
 内閣支持率がじりじりと下がる中、菅氏は政権浮揚を狙って「脱小沢」に動いた。11年1月、小沢氏が政治資金規正法違反罪で強制起訴されると、自発的離党を要求。小沢氏との距離をめぐって党内対立が深刻化した。
 3月に発生した東日本大震災は、菅政権を根底から揺さぶった。菅氏をはじめ首相官邸は東京電力福島第1原発事故の対応に追われ、政府内の指揮命令は混乱。被災者支援や復旧・復興の遅れが指摘された。
 「菅降ろし」の機会をうかがっていた小沢氏は、野党提出の内閣不信任決議案に賛成する構えを見せ、党内で同調者を募った。このため、菅氏は6月、不信任案の採決に先立ち、震災対応に「一定のめど」を付けた後の退陣を表明せざるを得なかった。8月の特例公債法などの成立を受け、菅氏は退陣した。

 ◇民自公で消費増税
 民主政権で3人目の首相となった野田佳彦氏は就任当初、「親小沢VS反小沢」で繰り返される党内対立に「ノーサイド」を訴えた。小沢氏に近い輿石東氏の幹事長起用は党内融和を重視する決意の表れだった。
 だが、野田氏が消費増税路線を鮮明にすると、小沢氏のグループが「マニフェスト違反」との主張を強め、党内抗争が再燃した。
 野田氏は、消費増税に政治生命を懸けると明言して退路を断ち、自民、公明両党と連携する路線に傾斜。「近いうち」の衆院解散と引き換えに自公の協力を取り付け、消費増税法を成立させた。同法の採決で小沢氏をはじめ多くの議員が造反。離党者が相次ぎ、民主党は溶解状態に陥った。
 外交では野田氏も苦しんだ。9月の尖閣諸島国有化をきっかけに中国各地で反日デモが発生。日中関係は、国交正常化以降で最悪といわれるほど深刻な事態を招いた。日本製品に対する不買運動で、日本経済にも影響が出ている。李明博大統領による竹島上陸も外交力の限界を印象付けた。「第三極」を目指す日本維新の会の石原慎太郎代表は、民主党外交を「弱腰」と批判している。
 「政権交代前に時計の針を戻して古い政治に戻るのかどうか問われる選挙だ」。衆院解散後、野田氏はこう叫んだ。しかし、有権者の間には今、民主党政権の継続でも、自民党政権への回帰でもない「新しい政権」を求める声が広がっている。

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