図解
※記事などの内容は2019年4月2日掲載時のものです
統一地方選前半戦で注目される大阪府知事・市長ダブル選は、7日の投開票に向けて終盤戦に入った。両首長が立場を入れ替えて出馬する「奇策」に打って出た地域政党「大阪維新の会」は、両選挙で勝たなければ、看板政策「都構想」が頓挫する。党の存亡にも関わるだけに背水の陣で臨んでいる。対立する自民党は公明党のほか、立憲民主など野党とも「反維新」で連携。都構想や維新政治に終止符を打つことを目指し全力を傾ける。
◇二枚看板
「人間関係でうまくいっているのを2度とバラバラにしない仕組みにするのが都構想だ」。3月30日夕、JR大阪駅前の街頭で維新の市長候補、松井一郎前知事は維新カラーの緑色の防寒着を着込み、語気を強めた。験担ぎで白のダウンジャケットを着た知事候補の吉村洋文前市長も「もうしばらく松井・吉村のセットで改革を」と約200人の有権者らに訴え掛けた。
選挙戦で2人は相手陣営を「野合談合」と非難。「府市合わせ(不幸せ)」とやゆされる二重行政の弊害を語り、都構想の必要性を訴える。
出馬表明が遅れた対決候補らと比べ、知名度が高い「二枚看板」は維新の強力な「武器」だ。同30日夜には、2人で若者の集まる大阪市内のナイトクラブを訪問。松井氏は「ここで声を上げるのもいいが、投票でも声を上げて」と維新への支持を呼び掛けた。投票率の低い若者をターゲットに「ネットでバズらせる(話題を広げる)のが目的」(維新関係者)だ。
吉村氏も大票田の大阪市での街頭演説とインターネット交流サイト(SNS)の両輪で無党派層の掘り起こしに力を入れる。
◇「ソースの2度付け」と皮肉
自民が推薦する反維新陣営の市長候補、柳本顕元大阪市議と知事候補の小西禎一元副知事は同30日午後、大阪有数の観光地、通天閣(同市浪速区)の下で街頭演説を行った。
住民ら約200人を前に、柳本氏は都構想が2015年の住民投票で否決されたことに触れた上で「串カツはソースの2度付け禁止。前回の住民投票がラストチャンスではなかったのか」と再挑戦を目指す松井氏をあてこすった。かつて副知事として維新府政を支えた小西氏も「府民、市民と維新政治の戦いだ」と強調した。
2人とも選挙戦ではスーツにネクタイ姿がほとんど。陣営幹部は「政治を私物化する維新に対抗するため真面目さをアピールする」と打ち明ける。
自民もダブル選で少なくても一つは勝ち、衆院補選や夏の参院選に弾みを付けたい考え。知事選の告示日以降、二階俊博幹事長ら幹部が次々と応援に入り、組織戦を展開する。
支えるのが関西に強い地盤を持つ公明とその支持団体の創価学会だ。公明は前回ダブル選では維新に配慮し、自主投票だったが、都構想の協議決裂を受け、今回は柳本氏らを府本部推薦とし、反維新を鮮明にした。
自民関係者は「公明が組織を動員してくれて選挙を戦いやすい」と歓迎する。これに対し、維新関係者は「前回の知事・市長選も公明支持者は相手陣営に投票した。今回も影響はそこまでない」とみている。
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