図解
※記事などの内容は2019年3月8日掲載時のものです
【ニューヨーク時事】2006年の北朝鮮による初の核実験以降、国連安保理は北朝鮮に対する制裁を決議で段階的に強化してきた。その中でも制裁が大幅に強化されるようになったのは、北朝鮮が2月末の米朝首脳会談で「一部」の解除を求めた2016年3月以降の決議だ。
北朝鮮は首脳会談で、16~17年に採択された安保理決議のうち「民需経済や人民生活に支障を来す項目」(李容浩外相)の解除を求めた。米国務省高官によると、米国は実務者協議で、具体的に含まれる項目を照会したところ、「基本的に兵器(関連)以外すべて」だった。トランプ米大統領は「すべての制裁解除を求めた」と受け止めた。
安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの元委員、古川勝久氏は、北朝鮮は首脳会談で、燃料の輸入制限の緩和や、主要輸出品の禁輸解除のほか、金融制裁の緩和も求めただろうと指摘。「そうなると米国側は制裁による北朝鮮への経済封鎖が解けると主張するが、北朝鮮は決議の一部と言う。その言い合いだ」と食い違いの背景を解説した。
06~13年に採択された安保理決議は、武器禁輸や個人・団体の資産凍結など、核・ミサイル開発に関連するヒト・モノ・カネの制限が中心だった。しかし、核実験や頻発する弾道ミサイル発射を受け、16年以降は北朝鮮による天然資源の輸出制限をはじめ、核・ミサイル開発の資金源となる外貨収入源の締め付けを強化するようになった。
16年3月の決議では北朝鮮の最大の輸出品だった石炭や鉄鉱石などの輸出を禁止。一方、核・ミサイル開発に転用されない「生計目的」の場合は除外され、制裁履行の「抜け穴」になったため、後の決議で抜け穴を封じた。
さらに、トランプ政権下の17年の一連の決議は石炭や繊維製品などを全面禁輸とし、北朝鮮の輸出収入を断ったほか、北朝鮮への原油・石油精製品の輸出に初めて上限を設けた。強力な国際包囲網は、北朝鮮が交渉のテーブルに着く一因になったとみられている。
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