図解
※記事などの内容は2019年10月21日掲載時のものです
【エルサレム時事】トルコによるシリア北部でのクルド人勢力に対する越境軍事作戦は22日夜(日本時間23日未明)、一時停止の期限を迎える。クルド人勢力の民兵組織が期限までにトルコ国境から約30キロ離れた地点まで退けば本格停戦に向けた大きな一歩となるが、撤退範囲をめぐるトルコ側との見解の相違もあり、先行きは予断を許さない状況だ。
クルド人勢力の民兵組織、人民防衛部隊(YPG)が主体の「シリア民主軍」(SDF)は20日の声明で、トルコ国境沿いの町ラスアルアインから「すべての戦闘員を撤退させた」と表明した。ラスアルアインでは、トルコが米国の説得を受け、120時間(5日間)の作戦停止を受け入れた17日夜以降も銃撃や砲撃が続いた。激しい交戦が再燃する恐れがあったが、事態のエスカレートはひとまず回避された。
クルド人勢力は、シリア北部で後ろ盾だった米軍部隊の撤収をトランプ大統領が決断し、窮地に立たされた。YPGは米国の働き掛けで作戦停止中の撤退を受け入れ、ラスアルアインから別の国境沿いの町テルアビヤドに至る東西約120キロの範囲から退去する方針だ。
ただ、トルコは自国が抱えるシリア人難民の帰還先として「安全地帯」設置を目指す東西400キロ以上の範囲から、クルド人勢力を排除しようとしている。仮に約120キロの範囲からYPGが去っても、本格停戦につながるかは不透明だ。エルドアン大統領は18日、撤退が22日夜までに完了すれば「問題は解決される」と述べる一方、実現しなければ「作戦を断固続ける」と強調した。
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