図解
※記事などの内容は2018年9月7日掲載時のものです
【ワシントン時事】トランプ米政権がイスラエル・パレスチナ間の中東和平交渉で最大の争点の一つである「パレスチナ難民帰還権」を事実上排除する可能性が出てきた。米政府はイスラエル寄りの和平案をのませるためパレスチナへの圧力を強めており、パレスチナは猛反発している。1993年のオスロ合意以降、米国が仲介してきた和平プロセスは崩壊の危機にある。
パレスチナ難民が48年のイスラエル建国で追われた故郷に帰還する権利は、「エルサレムの帰属」と並び、和平交渉の中核的問題だ。親イスラエル姿勢を鮮明にするトランプ大統領は昨年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認め、「(交渉の)テーブルから取り除いた」と主張。これに続き、帰還権の否定も目指していると指摘する声が上がっている。
トランプ政権は先月31日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援対象となる難民数が増大し、「持続不可能になっている」としてUNRWAへの拠出停止を発表した。米紙ワシントン・ポストは、UNRWAの難民認定を48年の紛争で発生した第1世代に限り、約530万人に上る現在の人数を10分の1以下に絞るよう求めることも検討していると報じた。「大部分のパレスチナ人の帰還権を事実上排除する」(ポスト紙)ことにつながる。
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