図解
※記事などの内容は2019年2月23日掲載時のものです
【ソウル時事】トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による2回目の米朝首脳会談では、非核化の「具体的な措置」でどこまで踏み込んで合意できるかが最大の焦点だ。北朝鮮に多数の核・ミサイル関連施設が存在する中、寧辺の核施設やウラン濃縮施設の取り扱いが非核化の成否を左右しそうだ。
北朝鮮は1994年、米朝枠組み合意に調印し、軽水炉の供与を受ける代わりに寧辺にある5000キロワットの黒鉛減速炉の凍結・封印に同意。だが、高濃縮ウランによる核兵器開発疑惑が浮上し、合意は崩壊した。
その後、米朝に加え、日韓や中ロを加えた6カ国協議が2003年にスタート。05年には北朝鮮が「すべての核放棄と既存の核計画の放棄」を約束した共同声明を採択し、北朝鮮は見返りとして、エネルギー支援を得ることになった。しかし、核施設からのサンプル(試料)採取など検証方法をめぐり意見が対立し、協議は破綻した。
正恩氏は昨年9月の南北首脳会談で、北西部・東倉里のミサイル発射台のほか、米側の「相応の措置」を条件に、寧辺核施設を廃棄することで合意。今年1月の新年の辞では「これ以上核兵器を製造も実験もせず、使用や拡散もしない」と述べ、核兵器の製造中止に言及した。
しかし、昨年5月に破壊された豊渓里の核実験場同様、廃棄するミサイル発射台などは「今後使用しない施設で、大した価値はない」と米専門家の評価は低い。正恩氏の新年の辞も、既存の核兵器の取り扱いに触れていない。「未来の核」を放棄しただけと冷めた見方は多い。
過去の交渉局面でも、黒鉛減速炉や使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理施設などに査察官が足を踏み入れたことがある。今回、寧辺の核関連施設への一部査察が実現しても「重要な措置ではない」と見なされかねない。
一方、米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表によれば、正恩氏は昨年10月に訪朝したポンペオ国務長官に対し「プルトニウムとウラン濃縮施設の廃棄と破壊」を約束した。ウラン濃縮施設では国際原子力機関(IAEA)による査察はまだ行われていない。米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ朝鮮部長は「(実現すれば)これまでにない措置だ」と指摘し、関心を寄せている。
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