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【図解・国際】金正男氏殺害事件の構図

金正男氏殺害事件の構図

泥沼の外交戦に=マレーシア対北朝鮮-金正男氏事件1カ月

※記事などの内容は2017年3月12日掲載時のものです

 【クアラルンプール時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が殺害された事件は13日、発生から1カ月を迎える。マレーシア当局は実行犯の女2人を起訴したが、真相解明のカギを握る北朝鮮国籍の容疑者や重要参考人の聴取は進まず、捜査は手詰まり感が漂う。北朝鮮の度重なる捜査批判で両国の友好関係は崩壊。双方が相手国民の出国を禁止するなど、泥沼の外交戦に発展している。
 警察が現在、行方を追っている北朝鮮人は7人。このうち、実行犯のインドネシア人とベトナム人の女2人に猛毒の神経剤VXを渡した疑いがある4人の容疑者は、既に北朝鮮に帰国したとみられる。残る3人は在マレーシア北朝鮮大使館の二等書記官らで、警察は「大使館の中にいるとみている」(カリド長官)。
 マレーシア側は北朝鮮に容疑者4人の身柄引き渡しや二等書記官らに対する聴取への協力を求めている。ただ、マレーシアの捜査を「信用できない」と非難する北朝鮮に応じる気配はなく、捜査の長期化は必至だ。
 事件は両国関係も一変させた。マレーシアは北朝鮮と「とても友好的」(ナジブ首相)だったが、捜査への批判に「外交上、無礼だ」(同)と態度を硬化。駐北朝鮮大使の召還や北朝鮮人に認めていたビザなし渡航の廃止、駐マレーシア北朝鮮大使の国外追放と、矢継ぎ早に外交カードを繰り出し、けん制した。
 これに対し、北朝鮮もマレーシアの駐北朝鮮大使を国外追放し、さらに国内にいるマレーシア人の出国を認めない措置を実施。「人質」を取られたマレーシアは「北朝鮮と交渉する手段として」(ナジブ首相)、即座に北朝鮮人の出国を禁止して対抗し、両国関係は一層、緊迫化している。
 北朝鮮に残るマレーシア人は大使館職員とその家族の9人。地元メディアによると、ザヒド副首相は12日、出入国管理局の記録ではマレーシアに315人の北朝鮮人がいると述べた。
 アニファ外相は11日、出国停止措置をめぐり、数日中に北朝鮮と正式な協議を始める見通しを示した。地元紙の東方日報(電子版)は、交渉で北朝鮮は、マレーシア警察が行方を追う二等書記官と高麗航空職員2人の出国を認めるよう要求していると報道。仮にマレーシアが9人の帰国と引き換えに2人の出国を認めれば、捜査はさらに厳しいものになる。マレーシアは難しい対応を迫られている。 

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