図解
※記事などの内容は2018年9月19日掲載時のものです
【ソウル時事】韓国の宋永武国防相と北朝鮮の努光鉄人民武力相(国防相に相当)は19日、南北間の軍事的な緊張緩和策を盛り込んだ合意書に署名した。非武装地帯(DMZ)にある監視所の試験撤収のほか、板門店の共同警備区域(JSA)の自由往来など、南北の平和体制構築に向けた包括的な内容。大規模軍事演習についても南北で協議するとしており、米韓同盟や韓国軍の弱体化を懸念する声も上がる。
合意書は南北間の敵対行為中止やDMZの「平和地帯」への転換など六つの項目で構成。細目は22に分かれ、具体的なプロセスや対象範囲を記した付属書も付き、計24ページに上る。
DMZをめぐっては、12月31日までに1キロ以内に近接する11の監視所を試験的にそれぞれ撤収することで合意。南北分断の象徴として有名な板門店のJSAについても、将来的には観光客の自由往来を目指すという。
軍事境界線上空では11月以降、民間旅客機や貨物機を除く、すべての航空機を対象にした飛行禁止区域を設定。回転翼機は軍事境界線から10キロ、無人機は最大15キロ、固定翼機は最大40キロにわたり飛行が禁止される。偵察行為などを防ぐ狙いとみられる。
北方限界線(NLL)が引かれ、南北の軍事衝突が繰り返されてきた黄海では、偶発的な衝突を避けるため、船舶の進入を統制する「平和水域」を設けることで合意。2007年の南北国防相会議で設置を決めたものの、一度も開いていない軍事共同委員会で協議することを決めた。
4月の板門店宣言を受けた南北の緊張緩和を進める合意だが、韓国の元高官は取材に対し、「過去にも具体的な内容が入った合意書が締結されたが、北朝鮮が違反してきた」と指摘。軍事境界線付近の戦力も韓国軍の方が「はるかに強い」と述べ、合意は「一方的に韓国が弱体化される内容だ」と警戒感を示している。
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