図解
※記事などの内容は2019年5月30日掲載時のものです
【ソウル時事】韓国で来年4月の総選挙をにらみ、与野党が非難の応酬を激化させている。文在寅政権と与党「共に民主党」は、米韓首脳会談の内容を在米韓国大使館職員を通じて漏らしたとして、最大野党「自由韓国党」を批判。一方、情報機関・国家情報院(国情院)トップが、総選挙への与党の戦略をまとめる文氏側近と会っていた事実が発覚し、自由韓国党も攻勢を強めている。
「5月下旬の訪日後の韓国訪問をトランプ大統領に要請していた」。自由韓国党の姜孝祥議員は9日、国会で記者会見し、7日の米韓首脳による電話会談の詳細を暴露した。大統領府報道官は即座に否定し、「根拠のない主張について責任を負うべきだ」と姜氏を批判した。
韓国メディアによると、暴露内容を否定した大統領府だったが、外務省を通じて内部調査を実施。その結果、在米韓国大使館の参事官が姜氏に外交機密に当たる会談内容を伝えていたことが分かった。外務省は28日、2人を刑事告発し、30日には参事官の罷免を決めた。
姜氏は「国民に事実を伝え、文政権の韓米外交の実情を評価してもらうためだ」と暴露を正当化。しかし文氏は、「国家運営の根本に関する問題については常識を守るべきだ」と非難した。
一方、国情院の徐薫院長が21日夜、共に民主党のシンクタンク「民主研究院」の楊正哲院長と「秘密会合」を行っていたとネットメディア「ザ・ファクト」が27日、動画付きで報じた。楊氏は文氏の大統領当選を支えた「腹心」と言われる人物だけに大きな関心を集めた。
楊氏は今月中旬に院長に就任した。選挙戦略立案を主導する立場にあるため、野党からは「国情院の選挙介入だ」として、真相追究を求める声が上がっている。
与野党の対立先鋭化の背景には、国会(定数300)で128議席を有する共に民主党と113議席の自由韓国党の支持率接近がある。韓国ギャラップ社の調査では、共に民主党は昨年11月時点で30ポイント差でリードしていたが、直近では12ポイント差まで縮まった。総選挙の結果次第では文政権のレームダック(死に体)化が一気に進む可能性があるだけに、攻防は今後も激しさを増す見通しだ。
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