図解
※記事などの内容は2017年5月10日掲載時のものです
【ソウル時事】韓国の朴槿恵前大統領(65)の罷免に伴い、9日に前倒し実施された大統領選挙は即日開票され、革新系最大野党「共に民主党」公認候補の文在寅前代表(64)が当選確実になった。中央選挙管理委員会が当選を宣言した後、直ちに第19代大統領に就任する。任期は5年。2008年2月に就任した李明博元大統領(75)以降、2代続いた保守系政権から革新系へ約9年ぶりの政権交代となる。
文氏はソウル中心部光化門の広場で「すべての国民の大統領になる。私を支持しなかった人々にも仕える統合大統領になる」と述べ、勝利を宣言した。また「こん身の力を傾け、新たな国を必ずつくる」と誓った。
朴氏の親友、崔順実被告(60)の国政介入事件で混迷を極めた韓国政局は、新政権発足で事実上のトップ不在状態が解消され、大きな節目を迎える。文氏は前回12年12月の大統領選で、与党セヌリ党(当時)の朴氏に小差で敗れており、2回目の挑戦で雪辱を果たした。ただ、政権移行の準備期間がなく、手探りのかじ取りを迫られ、国政運営が軌道に乗るまでには時間がかかりそうだ。
文氏は朴前政権の「弊害」清算を掲げており、大幅な政策転換は必至。また、制裁・圧力一辺倒の朴前政権の北朝鮮政策を批判し、「制裁と対話の双方が必要だ」と主張している。強硬方針を取るトランプ米大統領との間で足並みの乱れが露呈する可能性もある。
文氏はまた、慰安婦問題をめぐる日韓政府合意の再交渉を求めており、合意の履行はさらに不透明さを増す見通し。
文氏は、朴氏の弾劾を主導した「共に民主党」への高い支持を背景に世論調査で一貫して首位を維持。保守系「自由韓国党」(旧与党セヌリ党)の洪準杓氏(62)や中道系野党「国民の党」の安哲秀元共同代表(55)らを抑えた。中道・保守系候補の一本化が実現せず、票が分散したことも文氏に有利に働いた。洪、安の両候補は9日夜、「選挙結果を受け入れる」とそれぞれ述べ、敗北を認めた。
投票率(暫定)は77.23%だった。
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