図解
※記事などの内容は2016年12月9日掲載時のものです
【ソウル時事】韓国国会は9日午後、朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案の採決を行い、賛成234票、反対56票で可決した。賛成は8割弱で圧倒的多数を占めた。朴氏は大統領職務を停止され、憲法裁判所が180日以内に訴追の妥当性を判断する。朴氏の親友、崔順実被告の国政介入問題に端を発した一連の事件で国民の怒りが爆発し、現職国家元首の弾劾に発展、韓国政局は最大のヤマ場を迎えた。
弾劾案可決を受け、朴氏は9日夕、大統領府で開いた閣僚懇談会で「申し訳ない」と謝罪した。大統領を代行する黄教安首相は9日夜に国民談話を発表する。
朴氏は憲法裁の審理を見守る意向を示しており、自ら辞任はしない意向だが、憲法裁が訴追を妥当と判断すれば、罷免され、60日以内に大統領選が実施される。憲法裁が棄却すれば大統領に復職する。
在籍議員300人のうち299人が投票し、可決ラインは200票。野党3党・無所属計172人のほか、与党セヌリ党から28票の賛成が必要だったが、与党から多数が賛成に回った。
弾劾案可決は2004年3月の盧武鉉大統領以来。
野党は憲法裁の判断を待たずに退陣するよう求める構えで、混迷が一層深まり、国政運営の停滞が続きそうだ。12年12月の前回大統領選で惜敗した最大野党「共に民主党」の文在寅元代表ら次期大統領選の有力候補は、朴氏の早期退陣や大統領選の前倒し実施を念頭に事実上の選挙キャンペーンに着手するとみられ、政界再編の動きも活発化しそうだ。
朴氏は月内開催で調整中の日中韓首脳会談に出席できなくなり、初訪日は延期となる。会談自体も先送りされる見通しだ。対日外交のほか、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応にも影響が出るのは必至。韓民求国防相は弾劾案可決を受け、北朝鮮の挑発に備え、全軍に監視・警戒態勢の強化を指示した。
国政介入疑惑は10月、朴氏の演説草稿などが崔被告に流出していたという報道で発覚。検察は、朴氏が崔被告らと共謀関係にあったと認定、「容疑者」として立件した。市民は朴氏辞任を求め、10月末から6週連続で大規模集会を開催。朴氏は3回にわたり謝罪談話を発表し、セヌリ党が求めていた「来年4月末の退陣」を受け入れる意向を表明した。
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