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【図解・国際】イラク・シリアでのISの支配地域

イラク・シリアでのISの支配地域

恐怖の「国家」、劣勢の果て=ISの支配崩壊へ

※記事などの内容は2017年10月19日掲載時のものです

 【カイロ時事】シリアとイラクに及ぶ領域を占拠した過激派組織「イスラム国」(IS)は、「首都」と称したシリア北部ラッカの陥落に伴い崩壊が決定的となった。イスラム教の特異な解釈に基づき、住民の迫害や惨殺もいとわなかった恐怖支配の歩みを振り返る。

 ▽モスル制圧で脚光

 ISの前身組織「イラク・シリアのイスラム国」は2014年6月、イラク第2の都市モスルを電撃的に制圧し、世界を驚かせた。「武器を持った男らは『イラク軍を排除し、あなた方を助けに来た』と話していた。外国人も、イラク人もいた」。当時の住民は英BBC放送にそう振り返った。
 それまでもラッカを含むシリアやイラクの都市で徐々に勢力を確立していたが、当時のモスルは人口約200万を誇る大都市。シーア派優遇のイラク政府に不満を抱くスンニ派住民や、フセイン政権期の支配政党バース党の幹部や元情報機関員らが合流していった。その後、IS最高指導者バグダディ容疑者が全世界のイスラム教徒の頂点に立つ「カリフ制国家」の樹立を宣言し、ISと名称を変えた。
 支配した都市では、住民に人頭税を要求。男性にあごひげ、女性にスカーフの着用を強要し、たばこや携帯電話も禁止。日用品に描かれたイラストもシールで隠すよう命じた。ラッカ市街地には、ISが公開処刑を繰り返した「地獄の円形交差点」と呼ばれる広場もあり、いびつな宗教解釈による厳格な統治は、人々に恐怖を植え付けた。

 ▽虐殺、斬首の悪行

 イラクでは、故フセイン元大統領の出身地ティクリートやファルージャ掌握に続き、南下して首都バグダッドにも迫った。特にモスル西方のシンジャールでは、クルド民族少数派のヤジディ教徒を迫害。イスラム教への改宗を拒む男性を虐殺し、「奴隷制の復活」と称して若い女性に暴行を繰り返した。高齢女性は「魅力に欠ける」と殺害した。
 シリアでも世界遺産のある中部パルミラなどを占拠し、古代ローマ時代の遺跡を破壊。残虐な振る舞いで国際社会の非難を浴びた。支配地域は北部アレッポなどトルコ国境沿いまで伸び、トルコ経由でISを信奉する若者らが世界中から流入。また、トルコから入った外国人も容赦なく拉致し、オレンジ色の囚人服を着せた残忍な斬首映像をインターネットで公開した。フリージャーナリスト後藤健二さんら日本人2人も拘束後に身代金を要求され、殺害された。

 ▽欧州やアジアにも

 ISの攻勢を重大視した米軍主導の有志連合は14年8月、イラクでの対IS空爆を開始。翌9月には作戦をシリアにも広げた。また、ロシアも15年9月にシリアでISを含む「反体制派」への大規模空爆に着手。有志連合はISと戦うクルド人勢力にてこ入れし、こうした圧倒的な軍事力でISの勢いを急速にそいでいった。
 ただ、ISがまき散らす恐怖の触手はイラクとシリアにとどまらず、世界中に拡散した。15年以降、フランスやベルギー、英国など欧州の主要都市で続発したテロでは犯行を主張。世界最多のイスラム教徒を抱えるインドネシア、フィリピンなど東南アジアでも活動が活発化した。政情不安の続くアフガニスタンではISの犯行とされるテロが相次ぎ、16年7月にはIS支持のグループがバングラデシュの首都ダッカで飲食店を襲撃し、日本人7人を含む人質20人を殺害した。

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