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【図解・国際】難民流入阻止のため中東欧・バルカン諸国に建てられた壁(2019年11月)

難民流入阻止のため中東欧・バルカン諸国に建てられた壁

欧州の国境、「壁」急増=揺らぐ自由な移動-ベルリンの壁崩壊30年

※記事などの内容は2019年11月4日掲載時のものです

 【ベルリン時事】ベルリンの壁崩壊翌年の1990年には、欧州域内で国境検問をなくす「シェンゲン協定」の具体策が定められ、ドイツだけでなく欧州全体で、欧州連合(EU)の理念となる「自由な移動」への流れができた。しかし2015年の欧州難民危機以降は、国境間に「壁」が急増。その理念が揺らいでいる。
 ハンガリーの首都ブダペストから約200キロ南方の小村、アソタロム。農家の目と鼻の先に、鉄条網が施され、高圧電流が流れる高さ4メートルのフェンスがそびえる。「反難民」を掲げるオルバン政権が、難民流入阻止のためセルビアとの国境175キロメートルに建てた「壁」だ。
 シンクタンク「トランスナショナル・インスティテュート」によると、こうした壁は、欧州に中東・北アフリカから難民が殺到した15年以降に急増。難民流入ルートのバルカン半島諸国を中心に、同年から17年までに約1000キロが建てられた。
 シェンゲン体制確立後姿を消していた陸路での国境検問も、ドイツ、オーストリア、フランスなど6カ国で復活。EU欧州委員会のアブラモプロス委員(移民・内務・市民権担当)は独紙に「シェンゲンの肝は検問の撤廃だ」と語り、各国に見直しを求めている。  ただ、EUでは難民は最初の到着国が受け入れに責任を持つのが原則。受け入れ負担を減らすには、まず水際で流入を止める策に出ざるを得ない構造的問題がある。
 ドイツの主導で、到着国にかかわらず各国に難民を一定割合で割り振る議論も進められているが、東欧諸国などの強硬な反対に遭い、議論は平行線をたどる。欧州外からの難民の殺到という、90年代に想定していなかった事態と自由な移動をどう両立させるのか。答えは見えてない。 

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