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【図解・国際】英国内で不評、EU離脱におけるシナリオ(2018年12月)

英EU離脱における今後のシナリオ

EU離脱合意案、英国内で不評=「どっちつかず」と批判-ニュースを探るQ&A

※記事などの内容は2018年12月10日掲載時のものです

 【ロンドン時事】英議会下院は11日、欧州連合(EU)離脱合意案の採決を行う。合意案は約1年半に及ぶ交渉の末にまとめられたが、英国内では不評で、否決される公算が大きい。

 -なぜ支持されない?

 2016年の英国民投票では、離脱支持が51.9%、残留支持は48.1%と小差だった。このためメイ首相は双方の意見の両立を目指し、離脱してもEUとの経済関係を維持できるよう腐心した。しかし、離脱派や元残留派の多くは、どっちつかずで不十分な内容だと考えている。

 -具体的には?

 離脱派は国民投票でEUからの移民規制を訴えた。合意案はこれを実現したが、元残留派は「移民は貢献している。政府の意向は経済に大きな悪影響を及ぼす」と不満だ。一方で首相は、英領北アイルランドの国境管理問題が解決するまで、英国が離脱後もEUに実質的に部分残留する選択肢を受け入れた。離脱派は「これではEUの属国だ」と憤っている。

 -今後どうなるの?

 合意案が否決されると首相の辞任や総選挙、来年3月末に予定される離脱の延期など、さまざまなシナリオが考えられる。ただ、いずれも最終的には英国がEUと再交渉し、妥結する必要がある。決裂すれば、社会・経済に混乱を招く「合意なき離脱」も排除できない。

 -実現しそうなのは?

 議会は元残留派が多数だ。超党派で混乱の回避を目指す動きも広がりを見せており、「数の論理」でEUとの経済関係を優先した結論に落ち着くとみられている。形の上では離脱しても、単一市場と関税同盟というEUの根幹を成す枠組みにとどまる「ノルウェー・プラス」案がその一例だ。ただ、小差とはいえ国民投票で勝利した離脱派がそれで満足できるか疑問も残る。

 -EU残留の可能性は?

 議会の意見がまとまらない場合、もう一度民意を問うシナリオもあり得る。有権者の約半数は今も残留支持だ。再投票の選択肢に「残留」が含まれれば、今度は残留支持が多数となり、すったもんだの末に離脱をやめることになるかもしれない。

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