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【図解・国際】英国のEU離脱後(2018年10月)

英国のEU離脱後

経済協力と国境管理で対立=英EU離脱交渉が大詰め-ニュースを探るQ&A

※記事などの内容は2018年10月18日掲載時のものです

 【ブリュッセル時事】来年3月に迫った英国の欧州連合(EU)離脱に向け、英EUの交渉が大詰めを迎えている。

 -どんな交渉?

 英国がEUを離脱する際の条件と離脱後についての話し合いだ。具体的には、英国で働くEU市民の離脱後の権利、英国が未払いのEU分担金の清算、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理、英EUの外交・経済協力が主なテーマになっている。

 -対立点は?

 経済協力と国境管理の2点。共通しているのは、EUの経済圏を形成している「関税同盟」「単一市場」という仕組みをめぐるせめぎ合いだ。

 -どういうこと?

 メイ英首相は交渉前、離脱時に関税同盟と単一市場から脱退すると宣言した。ところが今年7月、脱退はするが、英国に都合の良い一部のルールは守るので、加盟国並みの待遇を引き続きお願いしたいと言い出した。英貿易の約半分はEUとの取引で、脱退の悪影響は大きいからね。EUは「いいとこ取りは認められない」と反発している。

 -国境管理は?

 英EUは昨年12月、北アイルランドとアイルランド間に税関などの「ハード・ボーダー」(物理的な国境)を復活させない原則で一致し、そのための具体策がまとまらなければ、英国が「EUのルールと完全な連携を維持する」と決めた。首相は「脱退」と「完全な連携」を両立させる難問に直面することになった。

 -可能なの?

 難しい。EUは北アイルランドだけを関税同盟と単一市場に残留させようと提案した。アイルランド島全体がEUの経済圏のままなら、税関は不要だ。半面、離脱する英本土と残留する北アイルランド間で事実上の国境検査が必要になる。首相は国家の分裂を阻止するため、英全体を期限付きで関税同盟に残留させると逆提案した。当初の方針を覆す大幅譲歩だけど、EUは「期限付きではダメ」と拒否している。

 -なぜ税関を避ける?

 北アイルランドでは、アイルランドと一緒になりたい住民と、英国のままがいい住民が衝突し、数千人が犠牲となった歴史がある。紛争を終結させた和平合意から20年が経過したが、開かれた国境が税関で閉ざされると、アイルランドとの将来的な統一を望む人々のショックは大きい。最悪の場合、紛争時代に逆戻りしかねない不安がある。

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