図解
※記事などの内容は2017年6月3日掲載時のものです
【ロンドン時事】英総選挙の投票が8日に迫り、昨年6月の国民投票で決まった欧州連合(EU)離脱をめぐる主要各党の舌戦は終盤を迎えた。メイ首相率いる与党・保守党が掲げた移民制限重視の「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」に対し、最大野党・労働党は経済優先の「ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)」で応酬。どちらが多くの支持を集めるかが最大の焦点だ。
メイ首相は1月、EU諸国の市民が英国で自由に暮らし、働くことを規制する強硬離脱の方針を宣言。3月末に離脱の意思をEUに正式通告した後、政権基盤を強固にしてからEUとの離脱交渉に臨もうと、総選挙の前倒しを突如表明した。
選挙戦で首相は、難航が予想される交渉について「下手な合意をするより、決裂の方がましだ」と豪語。EUとの経済関係が細っても英国は繁栄が約束されていると楽観的な見通しを示し、大国意識が色濃い国民の自尊心をくすぐっている。
これと対照的なのが労働党だ。マニフェスト(政権公約)に「EUの単一市場や関税同盟の恩恵を保つことを優先する」と明記。コービン党首は選挙演説で「(首相が可能性を排除しない)交渉決裂は最悪の事態だ」と批判した上で、労働党が政権を奪取すれば全力で決裂を回避し、労働者の雇用と生活を守っていくと訴えた。
EU寄りの野党・自由民主党は、あくまで残留を模索。離脱交渉の結果を再び国民投票にかけ、「残留か離脱か」の最終判断を有権者に委ねると主張している。ファロン党首は「われわれが正しいことが(いずれ)証明される」と強調する。
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