図解
※記事などの内容は2019年12月31日掲載時のものです
【上海時事】2019年の人民元の対ドル相場は、米中貿易協議に翻弄(ほんろう)され、揺れ動いた。春先にかけて合意期待が高まると大きく上昇。ところが5月に決裂し、関税の応酬が再燃すると下げに転じ、秋口には前年末比4%超安まで下落した。その後「第1段階合意」に向けて前進すると戻し、結局、年末31日は同1.4%安の1ドル=6.9662元で大方の取引を終えた。
8月には11年ぶりに7元台に下落。米国は中国が輸出競争力を高めるため人為的に元安誘導しているとして、25年ぶりに制裁対象となる「為替操作国」に認定した。
中国では近年、経済の先行き不安から人民元を売って外貨を買い求める動きが加速。当局は資本流出が制御できなくなる事態を恐れ、外貨取引規制を強化し、市場介入で元安を抑えてきた。19年は「米中対立が輸出に及ぼす打撃を和らげるため、7元台への下落を容認せざるを得なかった」(邦銀筋)とみられる。
ただ、中国企業は近年、海外で資金調達を活発化。ドル建て負債が膨張し、元安が急激に進むと返済不能に陥るリスクがある。中国は米国に大幅な輸入拡大を約束したとされ、大量の外貨も必要になる。20年は外貨収支バランスに配慮した、例年にない難しい相場管理を迫られそうだ。
新着
会員限定