図解

【図解・国際】トランプ政権が抱える通商政策の課題(2019年12月)

トランプ政権が抱える通商政策の課題

トランプ通商政策、岐路に=問われる効果―再選へ正念場

※記事などの内容は2019年12月20日掲載時のものです

 【ワシントン時事】米国第一の通商政策を掲げるトランプ大統領は2020年、大統領選での再選を目指す上で1期目の正念場の年を迎える。今年一定の区切りを付けた日米、米中、北米の貿易交渉の経済効果が問われるほか、積み残した懸案の扱いも焦点となる。ただ関税を武器にしたなりふり構わぬ攻勢は米国の景気にも打撃となりかねず、選挙を前に難しい判断を迫られそうだ。
 「米国史上最大の貿易合意を達成した」。トランプ氏は18日の支持者集会で成果を誇示した。米中貿易協議「第1段階」の正式合意を13日に発表。19日には北米自由貿易協定(NAFTA)新協定が米議会下院を通過し、目標とする来年中の発効へ前進した。日米貿易協定は来年1月1日に発効する。
 貿易交渉の節目を年末年始に合わせた背景には、ウクライナ疑惑の大統領弾劾訴追に対する国民の関心をそらす狙いもありそうだ。日米、米中の貿易合意は対立の小さい農業分野などを中心とした「ミニディール」(米商工会議所)とも言われ、難題は今後の「第2段階」交渉に先送りした。来年2月には米与野党が、農業が盛んな中西部の激戦州アイオワで党員集会を開く予定で、トランプ氏は国内の農業票に配慮して妥協に転じた形だ。
 通商をめぐる交渉で大きな進展が見られないのが欧州連合(EU)だ。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は17日、対EU貿易赤字に不満を訴え、「関税を引き上げる」とけん制。フランスのデジタル課税も念頭に「多くの貿易障壁や問題に取り組まなければならない」と矛先を向けた。
 ただ、関税を使った強硬策は米国の景気に水を差すジレンマもあり、最近では新たな対中制裁関税や欧州車に対する最大25%の追加関税の判断を見送った。米中合意を考慮しても、貿易戦争が激化する前に比べて米企業や消費者の年間経費は計1060億ドル(約11兆円)以上増えるとの米大学の試算もある。米戦略国際問題研究所のマシュー・グッドマン上級副所長は「大掛かりな関税発動は大統領の再選を阻む」と警告しており、トランプ氏は硬軟のバランスに苦慮することになりそうだ。

米政治の今後の流れ
米大統領弾劾の予想される流れ
ウクライナ疑惑をめぐる構図

図解・国際

  • アジア
  • 欧州
  • 中東・アフリカ
  • 北米・中南米
  • オセアニア
  • 世界・各国

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ