図解
※記事などの内容は2019年12月19日掲載時のものです
【ワシントン時事】米下院本会議は18日、トランプ大統領をウクライナ疑惑で弾劾訴追した。弾劾訴追された大統領は米史上3人目。与党共和党が多数派を占める上院で年明けに始まる弾劾裁判で、「無罪」となるのは確実な情勢だが、トランプ氏の威信低下は避けられない。来年1月下旬で発足3年を迎える政権の運営は格段に厳しくなりそうだ。
大統領の弾劾訴追は1998年のクリントン氏以来21年ぶり。訴追状で問われた「権力乱用」は、賛成230、反対197、「議会妨害」は賛成229、反対198で、両条項とも野党民主党の賛成多数で可決した。233人の民主党議員のうち2人が両条項に反対し、1人が「議会妨害」のみ反対した。共和党議員195人は全員が反対で結束した。
トランプ氏は18日夜、ミシガン州で選挙集会を開催。弾劾訴追に関して「頭がおかしくなったペロシ(下院議長)の民主党は、永遠の恥を自らに刻んだ」と激しい言葉で民主党を非難した。
弾劾訴追状によると、トランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領に対し、政敵バイデン前副大統領の捜査を要求。軍事支援を「取引材料」にするなど大統領権限を乱用した疑いを問われた。また、下院の調査権限を「史上類を見ない形で完全否定した」とされた。
ペロシ氏は採決後の記者会見で「米国にとって悲しい日だが、(賛成した)民主党議員の道徳的勇気を誇りに思う」と語った。
年明けの弾劾裁判でトランプ氏が「有罪」となり罷免されるには、上院議員3分の2以上の賛成が必要となる。共和党議員20人以上の造反が必須で、罷免の可能性はほとんどない。民主党は新たな証人の招致などを求めているが、共和党は「事実を掘り下げる場ではない」と取り合わない構えで、スピード決着を図る公算が大きい。
だが、裁判で「無罪」となっても、弾劾による威信低下は内政や外交に影響を及ぼしかねない。弾劾訴追で頂点に達した与野党の対立により、移民問題など超党派の協力が必要な政策の実現は困難になるとみられる。
米政治の今後の流れ
米大統領の弾劾訴追
米大統領弾劾の予想される流れ
ウクライナ疑惑をめぐる構図
新着
会員限定