図解
※記事などの内容は2019年10月18日掲載時のものです
【ワシントン時事】トランプ米政権は米東部時間18日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、欧州連合(EU)による欧州航空機大手エアバスへの補助金が不当だとして、世界貿易機関(WTO)の承認を受けてEUからの輸入品に報復関税を発動する。航空機やチーズ、ワインなど年間で約75億ドル(約8100億円)相当の製品に最大25%を上乗せする。長引く米中貿易摩擦に加えてEUとの対立が深まれば、世界経済の減速懸念が強まるのは必至だ。
米通商代表部(USTR)によると、報復対象となるEU製品は少なくとも160品目。エアバスの製造を支援するフランス、ドイツ、英国、スペインから輸入する大型民間航空機に10%、EU域内のそれ以外の工業製品や農産品に25%を課す。
EUからの年間輸入総額に占める報復対象(約75億ドル分)の割合は2%弱にとどまり、中国に対する制裁対象(約3600億ドル分)よりも小さい。ただ、英国のスコッチウイスキーやフランスのワインなどなじみのある品目も含まれる。EUの生産者への打撃が大きいだけでなく、輸入品の値上がりで米消費者にも影響を及ぼしそうだ。
米欧は2004年からWTOを舞台に航空機補助金をめぐり争い、WTOはEUのエアバスへの補助金、米国の米ボーイングへの補助金をそれぞれ不当と認定した。米国の報復関税の規模はWTOの裁定額として過去最高となる。EUもWTOの承認を待って来年前半にも対米報復関税を発動する見通し。米欧間には、停滞する貿易交渉や欧州車への追加関税の導入をめぐる対立も残っている。
米欧の貿易摩擦
米国のモノの対EU貿易赤字
米国が報復関税を課す主なEU製品
米欧の航空機補助金をめぐる紛争
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